俺は帰った。 ページ5
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「それって非通知?」
──なあんてとぼけてみせるけど、目星は大体ついてる。
「うん……」
「まあ、そりゃそっか……一体どっからAの電話番号が漏れたんだろうな」
──9割9分、アイツだろうなあ。というか、そうじゃないと困る。
「うーん……電話番号変えたほうがいいかなあ……?」
──けど、まさかここまでやってくれるとはね……素質は薄々感じてたけど、これには驚きだな。
少女と会話を展開させながら、脳内では独自にもう一つの話題を掘り下げる赤葦。そうだな、と赤葦が考え込む。これは二つの話題に対してだ。
「……とりあえず、もしまたかかって来たら考えようか。変に電話番号を変えるとおじさんに勘付かれるかも」
──そして、あっちの方はとりあえず保留かな。
「やっぱそう思う?」
「うん。おじさんの勘、鋭いからね」
赤葦は頷いた。
──今はこれでいい。
赤葦のそれは、きっと両方に対して。
赤葦は壁掛け時計に目をやった。
──あー、残念。そろそろ時間かな……
時計の針は10時半過ぎを指している。そろそろ帰らなければ、赤葦の両親にも変に探りを入れられてしまう可能性が出てくる。
「それじゃ、もしまた何かあったら教えてね」
──まあ、たとえAに何かあっても、それに気付かない俺じゃない。けど、これは言葉にだすことに意味がある。Aに聞かせることに意味がある。俺はAにとって唯一の味方だって刷り込むことに意味がある。
「うん、ありがとう」
──なんて、きっとAは気付かないんだろうなあ。少しの申し訳なさを残した顔に微笑みなんて浮かべさせちゃって。だから、Aが俺に申し訳なく思う必要なんて皆無なのに。そんな顔も可愛いからいいんだけど。てか、どんなAだって可愛いんだけど。……ああ、Aの髪の毛柔らかい。
先程までの重い空気を払拭すべく、赤葦は少女の髪の毛をわしゃわしゃと掻き乱す。上手く他愛もない話に誘導できたようだ。ベクトルは違うが、流石セッターだけあって心理戦はお手の物だ。
最後に明日は一緒に帰る約束をし、赤葦は少女宅を経った。
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ライア(プロフ) - あああああヤンデレぷまいーーーーーーーーーー(^q^) (2019年7月11日 0時) (レス) id: 22a2268380 (このIDを非表示/違反報告)
たなぱし(プロフ) - ぴよ曜さん» ぴよ曜さん、コメントありがとうございます!なんと、この小説で赤葦推しを生んでしまうとは…!!理想だなんて言ってもらえて光栄です!最後までお読み下さりありがとうございました(*´ー`*) (2017年8月26日 0時) (レス) id: 47f42923ee (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ曜 - この小説のおかげで、赤葦推しになりました!(笑)この小説の赤葦は、私の理想です!!完結おめでとうございます!&更新お疲れ様でした!!! (2017年8月25日 11時) (レス) id: 9123716162 (このIDを非表示/違反報告)
たなぱし(プロフ) - 審神者代理さん» 審神者代理さん、コメントありがとうございます!好みに合えば幸いです!もう赤葦さんの溢れる何でも出来る感に頼りきった作品となってしまいました笑まさにスパダリやあ…(*´∇`*) (2017年8月21日 21時) (レス) id: 47f42923ee (このIDを非表示/違反報告)
審神者代理 - 完結おめでとうございます!やっぱりここの赤葦さんは好みだなぁ…赤葦さんは何でも出来る感がすごいありますよね( `-ω-´) (2017年8月21日 21時) (レス) id: d1c49bf55e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たなぱし | 作成日時:2017年5月28日 1時