私の意志。 ページ40
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沈黙を破ったのは部長だった。
「どうする?取り敢えず顧問呼んでくる?」
弓道部は普段、部員たちだけで主体的に活動する。身も蓋もない言い方をしてしまうと、顧問は名前を貸す程度のものだった。弓道のその危険性上、部活中に万が一何らかのアクシデントが発生してもそれに対処できるように顧問が学校で待機しているのだ。もちろん、その万が一が無いよう、部員たちは常に安全管理には常に気をつけてはいるが。
つまり今も顧問はここにはおらず、職員室で弓道場の鍵が戻ってくるのを待機しているのだ。
「だっ、だめ!!」
少女は必死になって首を横に振った。
「なんでA、コイツのこと許せるって言うの!?ストーカーだけじゃない!言っとくけど、さっきのあれは強 姦未遂だよ!?」
少女の友人が怒りに顔を赤くしながら森を指差す。
「……正直、許してはいないよ。とても、…とても怖かったし」
先ほどの恐怖がぶり返したのか、眉をひそめて顔色を悪くさせる少女。その肩は細かく震えている。そして、それに気付かない赤葦ではない。もしあと少しでも駆けつけるのが遅かったら……そう思うと、赤葦は今にも倒れてしまいそうだった。
「ならなんで「でも!もしこのことが大事になれば、問題になれば、色んな人に迷惑がかかるかもしれない ̄ ̄たとえば、弓道部が大会に出場できないかも。直近で言えば、バレー部が合同合宿を自粛しなくちゃならないかも……」
「っ、A……!」
赤葦は自分のことより他人を優先する少女に胸が締め付けられた。それと同じくらいキツく、赤葦は少女を抱き締める。
「……まあ、Aがいいならそれでいいけどさ」
部長が肩をすくめる。少女のお人好しは今に始まったことではなかった。
「あの、だから……このことは、どうか内密に……」
「わかった。Aがそう言うなら……」
少女の優しすぎる対応に不満を持つ部員も少なくなかったが、それでも少女の意見を積極的に尊重しようと思った。
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たなぱし(プロフ) - ごくえんろうさん» わ、ヤンデレ牛島君(なんか闇金ウシジマくんみたい←)もご覧になっていだだけてるんですね!!嬉しいです^^牛島君のヤンデレは他ではあまり見かけませんよねー。自分得で書かせていただいてます笑 (2017年3月18日 7時) (レス) id: 8222ef3129 (このIDを非表示/違反報告)
ごくえんろう(プロフ) - たなぱしさん» 私は真っ黒黒葦派です(笑) ヤンデレ牛島君も読ませていただきました! 赤葦君も牛島君も好きなので嬉しいです(*´艸`*) (2017年3月18日 0時) (レス) id: 82fd8ee9bf (このIDを非表示/違反報告)
たなぱし(プロフ) - ごくえんろうさん» たなぱしとしては赤葦君好きが増えて何よりです!ただ、続編では赤葦君の印象がガラリと変わってしまうので……ちなみにたなぱしは真っ白葦も真っ黒葦もイケるクチです。もう赤葦君なら、なに葦でもイイです。赤葦に幸あれ(真顔)← (2017年3月18日 0時) (レス) id: 8222ef3129 (このIDを非表示/違反報告)
たなぱし(プロフ) - ごくえんろうさん» ごくえんろうさん、コメントありがとうございます!うわああ、本当ですね!最後の最後に締まりませんね!←これは圧倒的誤字ですね。指摘ありがとうございます!!! (2017年3月18日 0時) (レス) id: 8222ef3129 (このIDを非表示/違反報告)
ごくえんろう(プロフ) - ストーリー、とても面白いです!赤葦君をこの小説で好きになりました! あの、私と幼馴染と車内で。の最後らへん、『赤葦はスルッと』の部分なのですが、少女戸になっています。誤字ではないでしょうか。長文、失礼しました。 (2017年3月18日 0時) (レス) id: 82fd8ee9bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たなぱし | 作成日時:2017年2月8日 21時