【syp】後輩失格 (ページ8)

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「成程。つまり唯の後輩やと思っていたAに今日改めて告白されて、驚いて断れなかったと」

「簡潔に纏めると･･･まぁ、そんな感じ」

いつもの通学路で、自分には関係の無かった会話が飛び交う。
大先生はふーん、とレンズ越しに遠くの景色を眺めていた。

「でも、断るつもりだから」

「断ってしまうん？」

「え、うん･･･何でそんな驚いてんの」

「いや、経験として付き合ってみたらええやんって」

大先生の軽い提案に必死に首を横に振る。
あんたみたいに可愛いからおっけー、なんて出来ないってば。
恋愛に対して慣れたような口調や考えには、どうやっても私に合わないようだ。

「兎に角、断るつもりなら早く断った方がええで。期待させたらあかんやろ」

普段はヘラヘラした彼の、突然の篤実な視線に戸惑いながらも頷いた。
女の子を取っかえ引っ変えしてる奴でも、少しは誠実な所があったりするんだろうか。

カーブミラーが目印の別れ道でお互い逆方向に歩を進め、会話は途切れひとりになる。
静かになった道路の真ん中で、足を動かしながらぼんやりと色とりどりのポスターを眺める。

(“断るなら、早めに”･･･か。
･････････なら明日、断ろう)