29 向井Side ページ30
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雛Side
涼平とは、生まれたときからの幼馴染。
アイツは、物心ついた時から自信家で、優しくて、そして何より特別だった。
母親がバスケの選手で、世界トッププレイヤーの試合は何度だって見てきた。とんでもない才能マンがいっぱい居るの。
だけど、どんなに凄い選手でも、涼平の才能とは全然違うんだ。はっきり言って異常なの、アイツ。
だって、そうでもなきゃ、
「ぐっ…!」
三本指のスパイカーを、自分のボールで弾き飛ばせるわけがないんだもん。
「おぉ…思ったより良い威力出たな。」
「……バレーの、経験は本当に無いのか。」
「無いですね。ちょっと近所のお兄さんたちとやったぐらい?」
ぐーぱーと手を動かしながら、牛島先輩の質問に答える涼平。
……何だか凄く悔しい。まだマネージャーになってちょっとしか経ってない(というかほぼ経ってない)けど、
素人がウチの絶対的エースを打ちのめすなんて、悔しくて仕方ない。
でも、何よりも悔しいのは、心の何処かでは、こうなるだろうなぁって思ってたことだ。
「雛!俺のサーブ見……えぇぇ!?雛ちゃん泣いてる!?」
「だって…だって悔しくてぇ……!」
「えぇえ、ちょ、お前がやれって言ったのに…!わぁぁ泣くなって!」
慣れたような手つきで、ほっぺたのを涙を拭う涼平。誰にでもやってんのアンタ?
「牛島先輩!」
「……どうした?」
「涼平…、というか烏野!絶対ぶっ潰してやりましょう!」
「……言われずともだ。」
ぐしゃ、と不器用に頭を撫でられる。
「はは、逆に俺らが返り討ちにしてやるよ。待ってろ、牛島さん。」
「そもそもお前らが及川達に勝てるかが問題だな。」
「……及川って誰?」
「知らん。」
バレー始めたばっかの私達には及川っていう人は知識にありません。
その後も色々県内の高校について話していると、他の選手たちが体育館に入って来た。
「あー、じゃあ俺もう帰るわ。」
「そうだね〜田中くんによろしく〜!」
「おーう。」
走って体育館を出ていく涼平を、手を振りながら見送る。相変わらず走るのも早いな。
アメリカで先生の説教から逃げるときに、おんぶしてくれたっけ。
「……涼平、君は、ずっと雛のヒーローです。」
そう静かに呟いた。
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閃楽(プロフ) - 。さん» ありがとうございます〜🙏進むのが遅かったり、文才が足りなかったりすると思いますが、これからもご愛読頂ければ嬉しいです😊 (1月3日 16時) (レス) id: ea6fdef67d (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - 更新待ってました!! 今後どのようなお話になっていくのか楽しみです… (1月1日 12時) (レス) @page33 id: 3bfa0dd272 (このIDを非表示/違反報告)
閃楽(プロフ) - 。さん» 返信遅くなって申し訳ありません💦めっちゃ褒めていただけて嬉しすぎます〜😊これからも頑張りますのでご愛読ください😊 (9月1日 21時) (レス) id: ea6fdef67d (このIDを非表示/違反報告)
。 - 黒バスとハイキューどちらも好きで、男主も好きで私の好みにどストライクな作品でめちゃくちゃ感動してます、、 文章構成がちゃんとしていて読みやすいし分かりやすくて文才ありまくりで凄すぎます😭😭 更新頑張ってください!!応援してます!! (8月7日 8時) (レス) @page4 id: e8eb9be2b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:閃楽 | 作成日時:2023年8月5日 11時