私の“声”が届くまで

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いつもと変わらない朝。





いつもと変わらない朝食作り。





いつもと変わらないあの人の「いってきます。」の声。




　







いつもと違ったのは、誰かからラインが来ていたこと。






それが、勇人さんからだったこと。








勇人『今日こそは、風邪治ったか？』



今日こそは、と勇人さんが言うのには、ちゃんと理由がある。




あの日曜日の後も、勇人さんは２日に1回ラインをくれてた。



体調大丈夫かー？


とか


暇ー。構ってー。


とか


テレビに映る姿からは想像できないような内容だった。




でも、彼は忙しいから。





頻繁に来ていたラインも徐々に減り、



送ってくれた時に限って体調が優れてなかったりして、




なかなかいい報告が出来てなかった。






今日こそは、と私もすぐさま文字を打ちこんだ。



A『今日こそは、ちゃんと治りました！』



今日こそは、って真似てみたり、


いつもは使わない！を使ってみたり、




気づいたら、私じゃない人が打ったかのような文面に。




しかも、



文章、おかしくないかな


！なんて使わない方が良かったかな




って、いつもなら気にしないようなことも、

いちいち気になってしまう。




ごちゃごちゃ考えてると、また通知音が聞こえた。



勇人『良かった(笑)』



微笑む勇人さんの顔が目に浮かんだ。




なんか、胸のあたりがあったかくなった。



　

すると、またもやメッセージが。



勇人『じゃあ、次の土曜日な。』



思わず、反射的に『え？』と送ってしまった。






意味が分からなかった、というよりは、



また誘ってくれたことが嬉しくて、つい送ってしまった、という感じ。




なぜか目の前にある鏡に写る自分の顔が、


あまりにもニヤけ過ぎてて、ちょっとだけ気持ち悪かった。



鏡からスマホに目を移す。



勇人『え？って(笑)覚えてへんなら、土曜日まで行き先は内緒な。』



笑われた。



なのに、胸が


きゅっ


ってなる。






それを抑えて、


抑えつけて、





A『勇人さんのケチ(笑)でも、楽しみにしてます。』





って返した。









口角の上がりすぎで、






ほっぺたの筋肉がかなり痛かった。







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