な ページ3
「ごちそうさまでした！」
「はい、お粗末様でした。」
そう言いながら、二人分の食器を持って立ち上がる。
今日の夕飯はカレー。それも、ハンバーグを乗せた特別仕様だ。
我ながら上手く出来たことに満足度していると、友幸が小さく声をあげ、立ち上がった。
そしてそのまま玄関の方へ走って行くと、何やら紅い袋を持って戻ってきた。
「友幸、それは何だ？誰かに貰ったのか？」
食べ終わった食器をひとまず流しに置き、そう尋ねる。
そういえば、今日は友達と遊んだ。という話を聞いていた。その時に貰ったのか。
そう一人で納得していると、何故か目をきらきらと輝かせた友幸が答えた。
「ヒーローだよ、パパ！」
「…ヒーロー？」
友幸の言葉を繰り返すと、嬉しそうに頷いた。
「そう、ヒーロー！パパの相棒だったヒーローさんがくれたんだ！」
相棒……そんな者を作った記憶は少しも無いのだが。
首を傾げた俺を不思議に思ったのか、少し心配そうな顔をした友幸が、また言った。
「パパ、違うの……？知らない、人だった…？」
「あぁ、違うんだ友幸。少し考え事をしていてね。ありがとう。」
そう言ってその紅い袋を手に取ると、少し高くなった頭を撫でる。
すると友幸は、無事渡せたことに安心したのか、満足そうに呟いた。
「良かった、これで任務達成だ！」
「…？友幸？」
「！！あ、何でもないよ、パパ！こっちの話！」
「…そうか。話は終わったか？」
友幸の話が終わったことを確認すると、まだ手をつけていなかった、仕事をする為に立ち上がった。
テレビ見てくる！とリビングに体を向けた友幸だったが、ふと何かを思い出したように振り返った。
「パパ、そのプレゼントちゃんと見てあげてね。……僕にそれくれた人、泣いてたから。」
少し寂しそうな、悲しそうな顔をした友幸は、それだけ言うとすぐに走っていってしまった。
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