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俺の隣に座る彼。
1人だけオーラが違っていて、具合が悪くて来てるはずの人も、目を輝かせ、ピンと背筋を伸ばし、腰をかけてる。
俺らが通う看護学校とこの病院は渡り廊下で繋がっていて、アクセスしやすい。
だから、放課後、1人で行こうとした俺を捕まえ、すぐそこだし、と着いてきちゃった彼。
なんか、こーしてるとあの時の事を思い出すな。
それは推薦入試の面接の日。
風邪を拗らせてぜんそくが悪化し、この病院に入院してた俺。
先生から外出許可を頂き、隣に建つ、学校の面接会場へ行った俺。
会議室みたいな所にズラーっと並べられた机と椅子。
制服を着た生徒で満杯になってる。
俺も指定された席に座り、心の中で面接の練習をする。
面接が始まり、ドアに近い人が部屋を出ていく。
会場内の緊張が高まり、静寂の音が更に強まる。
音のないこの部屋に、ヒューという嫌な音が響く。
近くの人が横目でチラッと見てくる。
ゆっくり息を吸い、息を止める。
すこし苦しくなって、ゆっくり息を吐いてみる。
すると、胸の奥がゼーゼーと鳴る。逆効果じゃん。
近くの人達は鬱陶しそうな表情を浮かべ、椅子を引いて、俺と距離をとる。
心が苦しいのか、身体が苦しいのか分からない。
治まってくれという願いは叶わず、げほげほと咳も出てくる。
周りの目が痛いけど、カバンから吸入器を取り出し、吸入することに。
緊張で震える手から吸入器が零れ落ちる。
どこいっちゃった？と、机の下を探すけどなくて、焦る。
周りの温度は更に下がり、居心地悪いったらありゃしない。
それはまぁ、他の人にとってもそーなんだろうけど。
溢れる咳にさまよってた手が止まる。
孤立無援な状態でいた俺の背中に手があてられた。
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作者名：賞味期限 | 作成日時：2022年7月7日 3時
