Walking with you 7 (ページ21)

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｢あのっ、、入りま──｣

｢うおっ！｣

そのびしょ濡れの肩に触れた瞬間、雪崩みたいにドサッと一気にくずれおちる。

彼は辛そうにはぁはぁと呼吸し、目をギュッと瞑っている。

学校指定の白シャツの校章の刺繍が俺と同じ学年の色。

｢俺、1年2組の松本潤。君、何組の誰？｣

｢4くみの、、、みやかずな、、｣

弱々しく答える君の名前をハッキリと聞けず、無意味となってしまった自己紹介。

とりあえず、はっきりと聞こえたカズという名前。

｢おけ、カズ、駅まであと1分くらい。いける？｣

小さく、でも精一杯首を縦に振ったカズ。

せーのの合図で立ち上がり、ほぼ引きずるような形で駅まで連れてくる。

俺らはどうやら家の方向が一緒らしく、同じホームに移動。

すっかすかのベンチにカズを座らせる。

カズは咳き込みながらカバンからL字型のものを取りだし、口に向かってワンプッシュ。

不自然だった呼吸が魔法がかかったかのように落ち着いて、カズの顔色が心做しか戻る。

でも、そんなの気のせいに過ぎず、平地でゆらゆらと揺れる彼は眩暈に苦しめられている。

足取りも覚束ず、電車に乗るまでのほんの少しの道のりも危なっかしかった。

家の最寄り駅で降りて、自分の家まで帰るのも困難だろうと思い、俺は家まで送り届けることにした。

カズは申し訳なさそうに笑うけど、断続的に襲う眩暈に顔を顰め、その笑顔は幻のように儚く消えていく。