Nのカルテ (ページ8)

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｢なんだ？手短に頼むぞ？｣

和と潤がお風呂に行ったタイミングで父に電話をかける。

彼は17歳の頃に起業し、年間1000億円を稼ぐような人。

大きな会社になっても、社内のことは職場の人任せにせず、自分も参加し、より良くしていこうとする人だから、本当に多忙なんだよね。

そんな、仕事人間の彼に母は呆れ、数年前に離婚。

母親がいなく、自分も仕事で忙しいから家族の面倒を見る人が居なくて、、母と離婚した時期に家政婦を住み込み雇いすることになった。

もう半年以上家に帰って来ないようなそんな人だから、

｢和が今日、嘔吐してさ、。｣

そんなことを言っても動じず、

｢家政婦の佐藤が保険証の場所知ってるから、気になるようだったらそれ持って病院受診してきなさい。
お金は、通院用の口座から1万ほど下ろしてそれを使いなさい。メールで講座番号送るから。ね？じゃあ切るよ。｣

｢えっ、あっ、、｣

と一方的に喋られ、すぐに切られる。

｢最低な父親。｣

プープープープーと鳴り続ける受話器に向かってそう嘆くと、遅い時間に帰宅した雅紀に聞かれる。

｢父さんでしょ？あんな人に電話なんてかけなくていいよ。ストレス溜まるだけ。｣

うちの兄弟はみんな父のことが嫌いで、父の話になると、性格がいい雅紀までこんな言葉を使ってしまうんだ。