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｢お礼にお魚あげます｣
幸い、大きな発作までは行かなかったらしく、処置室から出てくるまでは少し時間がかかったが、今日のうちに帰れそうとの事。
鼻に酸素のチューブを付け、背もたれが上がったベッドで苦しそうに眠っていた潤の弟。
少しすれば目を覚まして、俺を見た瞬間にそんな言葉を発して笑いを取ろうとする。
｢｢馬鹿なこと言うんじゃない！｣｣
そんな彼に、潤とお兄さんは怒りと安心が混じった声色で彼に物申す。
｢翔ちゃん、たすけて〜っけほげほっ｣
一方、弟くんは、いつ俺の名前を知ったのか。名前にちゃんまでつけて、俺に助けを求めて来る。
点滴の繋がった白くてまるい手が俺の方に伸びてきて、俺は思わずその手を握って、
｢だいじょぶだいじょぶ｣
なんて声をかけてしまう。
｢翔、和を甘やかさないで！｣
｢翔ちゃん、潤の言うこと聞かないで！｣
そしたら双子の喧嘩が始まってしまって、戸惑う俺。
和くんの咳が酷くなった時点で潤が折れ、
｢もーいいよ。甘やかされとけ。｣
と言いながら、和くんの背中を優しく摩る。
見たことない表情をする潤。
その表情から家族思いなのが十分に伝わってくる。
結局、俺が握っていた手は、潤の元に行ってしまい、愛おしそうにギュッと握られている。
少し寂しい気もするけど、ふたりの兄弟愛にほっこり。
したのは俺だけではなかったようだ。
となりで優しく見守ってるお兄さんもそう思ってたみたい。
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作者名：賞味期限 | 作成日時：2022年9月25日 14時
