4 ページ9
｢いってきまーす｣
｢頑張ってらっしゃい｣
｢辛かったら座って休みなさいよ｣
あっ、完全に逃げ遅れた。
声がして間もなく進路指導室のドアが開き、
二宮先生が出てくる。
陸上部の意地を見せてやる精神で
廊下を走って逃げようとするんだけど、
後ろにあった、資料が置かれた机に気付かず
勢いよく足をぶつける。
｢っっだぁぁぁ、、、｣
二宮先生に見つかった悲しさと、足の痛み。
辛さから声が漏れる。
｢大丈夫、、？｣
頭上から本気で心配してくれてるような声が。
｢足も痛そうだけど、、、
紙で顔が切れちゃってる。｣
僕の目線と同じ高さにしゃがみ込んだ二宮先生。
ポケットからティッシュを取り出し、
僕の顔を押さえる。
｢はい、痛み引くまでおしりついて休んでて？｣
二宮先生の手が肩に触れ、
僕を座らせてくれる。
僕が休んでる間に、
床にちらばった資料をまとめる二宮先生。
手先が器用だからかな。
ものすごい速さでそれをまとめあげる。
よし、保健室行こう？
と言って立たせてくれた二宮先生だけど、
熱が高いみたい。今度は彼が倒れかけ、
怪我人の僕が支える形になってる。
｢けほげほけほけほっ、、けほっげほっ、
ごめん、、躓いちゃった(笑)｣
熱が高いせいで嘘も下手になってる。
心配で歪んだ僕の顔。
紙で切れた部分にしわがより、少し痛い。
｢はいっ、終了！
怪我してる子に言うのはアレなんだけど、
二宮先生、階段きついと思うから、
途中まで一緒に行ってあげてくれない？｣
怪我の処置をしてくれた保健室の先生。
私は歳で運ぶにも運べないから。と僕にお願いしくる。
｢休ませなくていいんですか……？｣
こんな状態じゃ55分もやってらんないよ…。
｢いいのいいの。
二宮先生はやる時はやる男だからね！
それに、休めって言っても聞かないし。｣
孫を見るような目をして言う先生。
かなりの信頼関係があるみたい。
｢わっ、、かりました。｣
僕は渋々お願いを引き受け、
二宮先生を支えながら階段を登る。
｢西畑っ、ありがとう｣
別れ際に、そう微笑んだ彼は、
さっきとは違い、しっかりとした立ち姿でいた。
え、さっき、西畑って呼び捨てされた！？
前はさん付けだったのに……距離縮まってる感じ！？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 166人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：賞味期限 | 作成日時：2022年11月27日 13時
