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これはもう10年以上も前のことである。
当時7歳の和也は
低気圧から引き起こされる不調により
熱が高く、家で寝込んでいた。
まだ小学1年生だった彼には
数日間の休みを取り、付きっきりで看てくれる母がいた。
｢和、げぇ出るなら出しちゃいなさい？
我慢してても苦しいだけよ？大丈夫だからね…｣
｢やぁ、、くるしぃ、｣
熱が高い上に吐き気まである和から目が離せなかった母親。
それをいい事に、高校1、2、3年の兄たちは
コソコソと何かを準備し始めた。
｢メガネってやっぱりやめといた方がいい？
あー、でもそうすると、眼科に行って
コンタクト作って、、あぁぁあもう時間がないかもしr｣
｢ペンライト、前、行きそびれた時のやつが残ってるよ！｣
｢服は調達しといた。
あそこの古着屋さんで5円と7円と8円で買えたよ！｣
｢あっ、俺、いちばん高いのがいい！｣
｢ゆーて8円だけどな、、(笑)｣
コソコソ、、というかワイワイと
雅紀の部屋で騒ぐお兄さん組。
明日、土曜、13時から行われる地下アイドルの
コンサートと握手会に行く準備をしているのだ。
｢兄ちゃんたち、なにしてるの？
じゅんもなかまにいーれーて！！！｣
そんな中、騒がしい部屋に入ってきたのは
天使のように可愛い小学1年生の潤。
地下アイドルオタクであることを家族に隠している3人。
すぐさま荷物をベッドの中に隠し、下手くそな笑顔で潤に近づく。
｢やぁだ！やだよ！うわぁぁーん、｣
明日が待ちきれない兄3人は、
宴会用のカツラを潤に被せ、女の子に見立てて遊んでいる。
かっこいいと言われたい時期真っ盛りの潤は
涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら泣き喚く。
｢こらっ！！じゅんくん泣かせちゃめーよ！！！｣
そんな潤を救出しに来たのは、
真っ赤な顔に冷えピタを貼った和也で、
兄3人を必死に睨みつける。
けど、熱が高く、すぐに電池切れ。
ふらっと身体が傾き、その場に尻もちをつく。
｢うぁぁあぁぁぁーん、｣
今度は和也も泣き出してしまって、
｢どーしたのっ！？｣
お風呂から急いで出てきたんだろうなと思わせる
バスローブ姿で駆けつけた母親にぶちギレられた3人だった。
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作者名：賞味期限 | 作成日時：2022年11月27日 13時
