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｢そうだね。けど、そこで助けてたら今度はあんたがいじめられてた。そして、同じように、あんたも上北に助けを求める。でも、上北は助けてくれないだろうね｣
｢何で…？｣
｢いじめからやっと解放されたのに、そこで助けたらまた元の生活に逆戻り。そんなの、嫌に決まってるでしょ｣
私は口を開けたまま、呆然とした。
イケメンなのに、この人性格悪い！！
さらっと言うことじゃないよ…！
｢だから、あんたがしたことは正しいの。自分を守るためにやっただけ。よって、悲劇のヒロインぶる必要はなし！｣
｢でも…、クラス戻りにくいんだけど…｣
｢まぁ、大丈夫だろ。上北に軽蔑の眼差しで見られるだけで済むって｣
それが嫌なんだよ…。
向日葵はため息を吐いた。
ふと、気になる事があった。
｢あなたは何でここにいたの？何してたの？｣
｢イス四つ並べて寝てたけど、誰かさんの足音がうるさくて目覚めて、本読もうとしたらあんたの呟きが聞こえた｣
向日葵の顔は赤くなった。
恥ずかし…。
教室戻ろう…。
ドアに手をかけると、｢ねぇ｣と声をかけられた。
｢何？｣
｢あんた、名前は？｣
｢笹井向日葵。何でそんなこと聞くの？｣
男はニッと笑った。
何かを企んでるような顔だ。
｢広めようと思って。笹井が図書室でー、って｣
私は慌てた。
｢はぁ！？やめてよ！！何てこと考えてるの！？｣
男は手を上げた。
｢じゃんけんに勝ったら、言わない｣
｢じゃんけん？｣
迷ったが、広められるのは嫌だったので私はじゃんけんをすることにした。
｢最初はグー、じゃんけんポイッ｣
男はパーをだした。
｢やったっ！勝った！｣
私は喜んだ。
｢ちぇっ。負けたか―｣
男は口を尖らせながら、自分の手をみた。
｢約束だからね！？｣
私は念押しし、扉をあける。
｢あ、｣
顔を男の方へ向けた。
｢あなたの名前は？｣
男は｢松下海斗｣、と名乗った。
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作者名：みあゆい | 作成日時：2019年12月5日 12時
