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上北さんからの視線は痛かったが、なんとか今日の授業は終わった。
靴箱に向かう途中、図書室の前を通る。
私は足を止め中に入ろうかと迷った。
もしかしたら、あの人に会えるかも…。
そんな期待があった。
松下海斗。
あの男の名だ。
イケメンだけど性格が悪い。
ふと、アイツに言われたことを思い出した。
『あんた、何、ヒロインぶってるの？』
ムカッ。
やっぱりいいや！
図書室から顔を逸らし、靴を履いた。
ムカつく！
何であんなこと言われなきゃいけないの！？
別にヒロインぶってないし！！
学校を出るときアイツが帰ってるのがみえた。
友達だろうか。
隣にいる男子と楽しそうに話している。
｢ん？…あ、｣
急に松下海斗が振り返り、向日葵と目がバッチリあった。
｢あ？海斗どうした？｣
もう一人の人も振り返りそうだったので、向日葵は急いで走りだし逃げた。
｢何でもないよ｣
｢そうか？｣
後ろからそんな会話が聞こえてきたが向日葵は聞こえないふりをして走り続ける。
足を止めたときには大分学校から離れていた。
｢はぁ、はぁ…けほっけほっ｣
息が切れている。
疲れた…。
｢大丈夫？｣
｢…え？｣
顔を上げると目の前に少年がいた。
誰？
少年はもう一度｢大丈夫？｣と聞いてきた。
｢あ、うん。大丈夫…だよ｣
｢よかった｣
向日葵は首を傾げた。
誰かに似ている気がするんだよなぁ。
あっ！
｢ねぇ！君、松下海斗の弟？｣
｢違う。でも、知ってる人｣
顔が似ていた。
弟じゃなかったかー…。
てか、アイツ弟いるのかな？
｢君、何歳なの？ここ、あんまり人通らないから危ないよ｣
｢お…｣
お？
少年はハッとなったように口を閉じて息を吐いた。
｢…お姉ちゃんも危ない｣
｢私はよくここ通るし、逃げ道も知ってるから大丈夫｣
｢そういうことじゃなくて…｣
少年は真剣な顔だった。
｢明日、危ない｣
｢どういうこと？｣
少年は首を横に振った。
｢…今は、言えない｣
｢？｣
｢変わっちゃうかもしれないから…｣
｢何が変わるの？｣
｢……｣
少年はこれ以上は言うつもりはないようだ。
｢明日になったら言えるから…。それまで待ってて…｣
｢…分かった｣
何故か、この少年の言う通りにした方がいいと思った。
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作者名：みあゆい | 作成日時：2019年12月5日 12時
