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來夢は困っていた。
どうしよう…。
裏の世界へ来たのはいいが、カゼがどこにいるか分からない。
肝心のカゼに会えなきゃ、家と自分の物を全て捨てたのが無駄になった気になってしまう。
扉を振り替える。
表の世界には簡単に戻れる。
でも、諦めるもんか！
諦めるのは早すぎる。
限界まで探して、その時やっと諦められるんだ。
來夢は足を動かし、前へと進んだ。
カゼの行きそうな所ってどこだろ。
ここのことはまだ全然分からないし…。
その時、一人の人物が頭の中に浮かんだ。
俺が知ってる人はあの人しかいない。
カゼとも知り合いではあるんじゃないだろうか。
記憶を頼りに道を進んでいく。
薄暗かったのが、だんだんと暗くなってきた。
カゼの言う通りだ。
この様子だと、完全に夜になったら俺は暗すぎて前に進めないかも…。
この先だ！
足を速める。
｢！やったっ！｣
見覚えのあるドアだった。
チャイムを押す。
｢はーい｣
中から声がした。
來夢は唾を飲み込んだ。
ドアが開く。
｢あれ？君は…｣
｢い、いきなり、すみません！カ、カゼいますか？｣
確かにあの時の男の人だった。
イスに座りながら新聞を読んでた人。
｢今はいないなー。どこか行ってるんじゃない？｣
｢そうですか…。ありがとうございました。えっと…｣
｢俺は河合諒だよ。ていうか、あいつカゼっていうんだー｣
來夢はフルフルと首を横に振る。
｢違います！好きなように呼んでいいって言われたから…、カゼって｣
｢あー、なるほど。風みたいだった、とか？｣
｢はい…｣
來夢は口許に手をあてる。
來夢が考え事をする時にたまにしてしまうクセだ。
ここじゃないなら…、どこか。
｢ねぇ｣
｢え…｣
諒さんに声をかけられ顔を上げた途端、後ろから肩をぐいっと掴まれ振り替えされた。
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作者名：みあゆい | 作成日時：2019年12月6日 17時
