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來夢は嫌だった。
カゼに心の中を全て見透かされてるようで…。
｢違うっ！俺は…トラウマになんか…｣
｢触ってみろ｣
カゼが腕を伸ばす。
來夢はゆっくりとその腕に触れた。
｢ほら、触れる｣
｢自分からはな。次、｣
カゼが來夢の腕を掴み、自分の方へ引き寄せる。
｢…っ｣
声を出すのを我慢した。
悲鳴が出そうだったが、何とかおし殺せた。
｢足、震えてるぞ｣
來夢は自分の足をみた。
｢もう…ヤダ。隠せない…。カゼの前じゃ隠し事ができない…っ｣
目から涙がこぼれる。
｢來夢、トラウマをなくしたいか？｣
コクッと大きく頷く。
当たり前だ。
このままじゃ、カゼだけじゃなく諒にまでバレてしまう。
｢どうすればいいの…？｣
カゼは來夢の目元をグイッと指で拭う。
怖い。
｢怖いと思う理由は？｣
｢…触られるたびに、カイに触られたって勘違いして…それで…｣
｢なら、触られた時に相手の顔をみろ。そしたら、アイツじゃないって分かるだろ｣
そっか…。
｢試しに、俺がやってみるから顔をちゃんとみろよ｣
｢うん…｣
カゼは來夢の頭を撫でる。
ビクッと反応する。
相手の顔を…。
來夢は顔を上げた。
カゼだ。
そこにいるのはカイじゃない。
カゼなんだ。
震えが止まった。
今は來夢の頭を撫でるその手が心地よく感じる。
｢カゼ…くすぐったいよ…｣
｢俺の言った通りだったな｣
｢ん…｣
｢…來夢、約束して｣
｢なに…？｣
｢もう、今回みたいなことは二度としないと｣
｢…分かった｣
｢よし、行くぞ｣
｢え？｣
｢お腹すいた｣
來夢は笑い、カゼも笑った。
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作者名：みあゆい | 作成日時：2019年12月6日 17時
