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來夢は顔を上げた。
｢俺、お金用意します！絶対に明日までにっ！｣
｢どうやって集めるのー？それに一日で、とか無茶でしょ｣
諒の言う通りだ。
確信がない。
でも、このまま諦めるのは嫌だ。
｢カゼに死んでほしくない…。絶対にお金、用意する。どんな手を使っても…｣
今から行かないとッ！
時間はないんだ。
｢諒さん、必要な道具を集めるのは諒さんにお願いしてもいいですか？｣
｢…ん。分かった。道具担当は俺ね｣
｢俺、今から行ってきます｣
諒は來夢の腕をガシッと掴む。
｢來夢くん…。來夢くんは絶対に人を殺しちゃダメ。どんな手を使ってもっていうのから、これだけは外して…｣
諒の顔は少しだけ、歪んでいた。
來夢はキョトンとなる。
｢人を殺めるようなことはするつもりないですよ？大丈夫です｣
諒はホッとしたようだ。
顔の筋肉がさっきより緩んだ。
｢頑張ってね｣
｢はい｣
ドアを開ける。
來夢には思いついたばかりの作戦があった。
そのためには、高そうな店を探さなきゃ。
來夢はすぐそばを通りすぎた人に声をかけた。
女の人になりきって。
｢すみません｣
｢なんだい？｣
｢この辺じゃなくてもいいので、高そうな店をどこか知らない？｣
｢それなら、この先真っ直ぐ行って右に曲がった所にお金持ちの人しか行かない店がある｣
｢ありがとう｣
來夢は教えてもらった場所に足を進める。
何て読むんだろ…？
店名が英語だ。
來夢は特に英語が苦手だった。
來夢の中のイメージのお金持ちを想像しつくる。
演じてないと初対面の人とまともに話せないからだ。
來夢は店に足を運んだ。
｢いらっしゃいませ｣
落ち着いた声で迎え入れてくれた。
｢この店で一番のお得意様って今日来てます？｣
來夢はさっそく質問に入った。
店の人は丁寧に答えてくれた。
｢いらっしゃってます。あちらの方です｣
店の一番奥の隅に座っている男。
あの人が…。
｢お知り合いですか？｣
來夢は嘘をつく。
｢はい。そうです｣
｢では、ごゆっくりどうぞ｣
店の人は離れていき、他のお客さんの相手をしはじめる。
來夢はゴクリと唾を飲み込む。
來夢の作戦はこうだった。
あの時みたいに大人のキレイな女性になりきり、お金に困っている、と言うつもりであった。
お金を持ってる人ならもっとくれるかもしれない。
微かな期待。
來夢は目を瞑る。
…よし。
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作者名：みあゆい | 作成日時：2019年12月6日 17時
