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「あ、あの…大丈夫ですか?」
人だ。
來夢はその人の着ている服に目がいく。
見覚えがある。
これは…。
ハッとなり、來夢の体が震えてくる。
嘘だ…そんなはずは…。
その人のそばにしゃがみ、顔を覗きこむ。
考えがあたらないで…っ。
顔をみて、來夢は絶望した。
血の気が引いていく感じがする。
呼吸が上手く出来ない。
苦しい。
「カ、ゼ…」
絞り出すようにだした声は掠れていた。
何で…何があったの?
助けなきゃ…。
息を吸い込む。
そして吐く。
最初はぎこちなかったが、何回か深呼吸を繰り返す内に呼吸は出来るようになった。
体の震えは収まらない。
「カゼ…ッ!カゼ!?お願い…目をあけて!」
体を軽く揺すると手に何か生暖かい液体ヌルッっとついたような感覚がした。
「え…」
微かに鉄臭い匂いがする。
この匂いは…。
來夢にはみに覚えがあるものだ。
お母さん達が倒れていくなか、咳をしながら吐き出したもの。
血だ。
來夢は分かった途端汗をブワッとかいた。
心臓がバクバクうるさい。
ヨロヨロと立ち上がり、諒の家のドアを勢いよく開ける。
「諒さんッ!!!」
諒は目を見開きながら「何ー?」と聞いた。
來夢は焦りながら話す。
「カ、ゼ…ッ!カゼがッ!た、倒れてる!お願いっ!一緒に来てッ!」
諒は思いの外、スッと立ち上がった。
さっきまで、『金の関係』と言っていたから來夢は驚いた。
諒はクスッと笑う。
「來夢くんからのお願いだからねー。仕方ないなぁ」
「あ、ありがとうございますっ!」
お礼を言う。
來夢は諒を連れてカゼの元に急いだ。
諒は倒れてるカゼを目の前にしても何も反応しない。
「血、血がっ流れてて…ッ!」
「みたいだねー。さてと、家の中に運びますかー」
落ち着き払って言う諒。
二人で協力してカゼを運び、來夢とカゼの部屋のベッドに寝かせる。
諒はため息を吐く。
「俺の家には処置に必要な道具とか一つも置いてないけどー、どうしよっかー。買うためには大金が必要だしー。でも、いきなりは無理だしー」
『大金』という言葉に來夢は反応した。
…もしかしたら、いけるかもしれない。
あの時と同じ方法を使えば…!
「諒さん、カゼはまだ生きてますよね?」
「うん。それでも、もって後2日かなー」
2日…。
「道具を集めるのにどれくらいかかります?」
「半日はかかるからー、一日以内に大金集めなきゃだねー」
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作者名:みあゆい | 作成日時:2019年12月6日 17時