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「…カゼ、帰ってこないですね?」

來夢は不安になっていた。

時間はすでに10時過ぎ。

昨日はこんなに遅くなかった。

「何かあったのかな…」

「ここじゃ何かあってもおかしくないしー、そんなに心配しなくていいんじゃなーい?」

「心配しますよ…」

「來夢くんは信用してないのー?アイツ、強いからそう簡単には死なないって」

「俺…カゼが強いのかどうかよく分からない…。カゼが人を…殺したのをみたのはあの時の一回だけだし…」

來夢がカゼに会いに来たとき。

カゼは相手に向かって銃を撃った。

そのときの來夢はただ呆然とするしかなかった。

あっという間の出来事で頭が追い付かなかったのだ。

いや。

あっという間に人を殺せるからこそ『強い』ということだろうか。

「まぁ、気楽に待っとこうよ」

諒はソファーに座りながらテレビをつける。

諒さんは心配じゃないの…?

來夢が聞こうか迷っていると、諒はテレビから目を逸らし來夢の方をみた。

「俺は心配とかしてないよー?別に信用してるからー、とかそういう意味じゃないけど。ただたんに俺には関係ないからねー」

まるで、來夢の考えていたことが分かったかのように諒は來夢が聞こうか迷ってる質問に答えた。

でも、その答えは來夢にとって予想外の物だった。

「何でですか?諒さん俺に話してくれたじゃないですか。カゼとは1年前に出会ってそれから今日まで一緒にいた知り合いみたいな物で…。なのに、何で…っ」

「來夢くん、勘違いしちゃダメだよ。俺にとってアイツは本当にどうでもいい奴なの。カゼに対して情なんか湧かない。來夢くんには情が湧いちゃうけどね。金を渡されたから部屋を貸してるだけの金の繋がりだけの関係。俺たちはそういうのなの」

諒は首を傾げてニコッと笑う。

作り笑顔だ。

「分かった?」

「……」

來夢は何も言えず、諒の顔を見つめていることしかできない。

「…俺、探しに行ってきます」

來夢は顔を逸らし、ドアに向かって足を進める。

「アイツ出掛けちゃダメって書いてたけど、いいのー?」

手紙の内容を思いだし、唇を噛み締める。

でも、心配だ。

ジッとしてるだけなんて…無理。

約束破るね…カゼ。

無言で歩き、ドアを開ける。

諒は何も言わなかった。

だが、やみくもに探しても見つからないだろう。

來夢が外に目を向けると、暗くてよく見えないが大きなかたまりが地面にある。



來夢は何気なく近づく。

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作者名:みあゆい | 作成日時:2019年12月6日 17時

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