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「來夢くん」
「…ん」
目を開くと諒さんがお菓子を食べながら壁に寄りかかって立っている。
「アイツさっき、出掛けたよー」
「え…」
隣をみるとカゼはいなかった。
もう行ったんだ…。
起き上がるとベッドのすぐそばにある小さな机の上に一枚の紙がおいてあった。
手にとって見てみる。
『用事で外出する。來夢は出掛けるな』
來夢は目を見開き、そして笑った。
カゼは出掛ける前に書いてくれたんだ。
何がおかしいのか分からない。
分からないけど何故か笑えた。
「アイツ、來夢くんと過ごせばいいのに。せめて、伝えてから行くとかさー」
「伝えてくれましたよ。ちゃんと」
來夢は紙をピラッと見せる。
諒は驚いた。
「アイツがそんなことするとか…」
「カゼって、優しいですよね」
來夢のいった言葉に諒は腕を組ながら息を吐いた。
「全然、優しくない。來夢くんにだけ優しいんだ。あ、でもちょっとだけだけど性格は少し柔らかくなったかなー」
諒はニッと笑う。
「來夢くん効果」
「そうだと嬉しいな…」
「大丈夫。本当のことだから。ご飯作ったんだけど、作りすぎちゃったんだー。起こしに来たんだけどー、來夢くん食べる?」
「食べます」
「じゃ、リビングにいるから」
「はい」
諒が部屋からいなくなり、來夢は伸びをする。
着替えて、リビングに向かった。
諒さんはソファーに座っていた。
「美味しそう…」
机の上にある料理は彩り鮮やかで、すごく美味しそう。
「俺、料理うまいから」
諒は自信満々に言った。
來夢は諒の隣に座り手を合わせる。
「いただきます」
パクッと口に入れる。
わっ!
「諒さん!すごく美味しい!」
こんなの食べたことない。
「來夢くんに喜んでもらえると嬉しいなー」
來夢はあっという間に食べ終わった。
「カゼ、諒さんの料理何回も食べてるのかー。いいなぁ」
「アイツは食べたことないよー」
「え?」
「アイツには部屋を貸してるだけで、それ以外は何もないしー。食料とかも、自分で用意して暮らせーって言ってるしー」
來夢は気になった。
諒さんとカゼの出会いってどんな感じなのかな。
「諒さん…カゼとどんな風に知り合ったんですか?」
「そうだね…。來夢くんには話そうかな」
諒は話し始めた。
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作者名:みあゆい | 作成日時:2019年12月6日 17時