元、Knights

14 ページ15

.










結局渉が教えてくれた、Knightsと同じテレビ局を使う日に、俺はアイツらに会いには行けなかった。


怖かった。アイツらに拒絶されるのが。
単純で、情けない理由。










「今日すごい時計気にしてたね。何か予定入れたりしてた？今日の撮影長引いちゃったけど、間に合う？」




『全然大丈夫。そういうんじゃないから。』










今までは、Knightsや他のESアイドルが同じ局内にいるなんて知らずに過ごしてきたから、今この場にアイツらがいるんだって改めて思ったら、ソワソワして、時計ばかり気にしてしまっていた。










「このあとは軽い打ち合わせだけだから、今日は8時には帰れるよ。」




『うん。あ、明後日って午前の撮影の後何も無いよね？ボイトレの予定入れておいて。』




「ミュージカルの時の人でいいの？」




『いや、違う人。後で連絡するね。』




「了解。






あ、そろそろ行くよ。」




『はーい』










いざ出るぞ、と控え室から出る準備を始めた時、ドアがノックされた。この前の遊木との再会があるからなのか、俺は無意識に、Knightsの誰かかもしれない、だなんて期待してしまった。



まぁもちろん違ったんだけど。



















あわよくば渉が俺の予定をKnightsに伝えてて、
あわよくばアイツらから会いに来てくれて、



そんな、ありもしない、都合のいいことを考えていた自分に、苦笑いが零れた。










.

15→←13

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す