だいきらいしぇあはうす

黒まろ黒ネコ ページ10

家の中から、小さな黒い塊が飛び出してきた。


桐ヶ谷 千影は塊を捕まえようとするが、相手の方は、彼の手をいとも簡単に避けている。



「黒まろちゃん、また逃げ出したの?」



真琴さんに『黒まろ』と呼ばれた塊は、家の塀の上に乗ると「にゃあ。」、高い声で一鳴きした。


それは、まだ小さな仔猫。


ぱっちりした黄金色の目、小さな体だが私達を見ると仔猫は毛を逆立てて、威嚇した。



「黒まろ!危ないから降りて来いっ。」



「ふしゃーっ!!」



桐ヶ谷 千影の言葉が分かるのか、黒まろは威嚇をするだけで、降りてくる気配がない。



「あ、あの仔猫…桐ヶ谷君の…?」



「そうよ、でも黒まろちゃんは警戒心が強くて…飼い主の千影に中々懐いてくれないのよねぇ。」



飼い猫が逃げ出したなんて、結構非常事態だと思うんだけど…真琴さんの方は全く慌てる様子はなく、黒まろと彼の様子を眺めている。


彼の方は小さく溜息を吐くと、次の瞬間塀の上を逃げようとする黒まろを捕まえた。


だが、黒まろは激しく抵抗するように身をよじらすと、桐ヶ谷 千影の手に噛みついた。



「…っ…こら、噛みつくなって…!」



「………。」



黒まろは容赦なく、彼の手にガブガブと噛み付いている。


…痛そう。

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