だいきらいしぇあはうす

意味わかんねー ページ12

「おい、落としたぞ…。」



「あ…ご、ごめんなさい!」



落とした拍子に散らばった救急箱の中身。


私は我に返ると、慌てて床に散乱した中身を拾って箱にしまう…桐ヶ谷 千影の足元にある包帯に手を伸ばした時だ。


私よりずっと大きな手が伸びてきて、包帯を拾い上げた。



「…あ、ありがとう。桐ヶ谷君。」



代わりに拾ってくれたようだ…だけど、彼はそれを渡さないで、なぜかジッと私のことを見ている。



「………今日は、怖がらせて悪かった。」



数秒の沈黙の後、彼は真っ直ぐに私を見ながらそう言った…さっきのお礼に続き、今度は謝罪…今日一日で私は何回衝撃を受ければ良いの!?


桐ヶ谷 千影…【笑う悪魔】と学校では皆から怖がられている彼、でも今私の目の前にいる彼は、とてもそんな人物に見えなかった。



「…だ、大丈夫だよ。」



勢いで私の口から出た言葉。



「確かに、怖いって思ったけど…でも、大丈夫だよ。」



…何、この意味分かんない言葉!?


言った後で後悔の波が押し寄せる、怖いけど大丈夫って、絶対肝心の言いたいことが伝わってない。



「変な奴…。」



で、ですよねー…。


ほらね、やっぱり伝わってない。


一気に恥ずかしくなった私は、赤くなった顔を相手に見られないよう、下を向いて隠した。

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