ツンデレーションギャップ tk*in

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「ねぇ、キスしてもいい？」

「…聞かなくていいから」


少し体を離して伊野尾くんの頬を両手で覆い、無理やりに目線を合わせる。

とろんとした目で俺の事を見上げる伊野尾くんに唇を寄せると、もう幸せ過ぎてどっかに飛んでいってしまいそうだった。

…今日はなんか、それだけで満足出来ちゃった。



せっかくのクリスマスだし、もう少しこの雰囲気を味わっていたいな。



伊野尾くんを股の間に座らせて後ろからぎゅーっと抱きしめながら、来年は一日中一緒にいたいな、と思った。









.




伊野尾くんは人が大勢いる場所が苦手だ。

だからサークルの送別会に行くことも最後の最後までしぶっていたが、お世話になった先輩がいるらしく意を決して家を出ていった。

伊野尾くんがお出かけして俺が留守番するのは珍しいから、なんか変な感じ。

部屋がいつもより広く感じてちょっと寂しい。

まだ伊野尾くんが出ていって３０分しか経っていないのに。



なんか適当に食べようと思って冷蔵庫を開けるとタッパーが２個ほど入っていた。


「……ん？」


なんだ、と思って開けると中にはおかずが盛りだくさん、どれも俺が好きな物ばっかり。


伊野尾くん…そういえば

冷蔵庫にあるもの適当に食っとけば？的な事サラッと言ってたけど

しっかり用意してくれてるじゃん。



「ふふ、どこまでも可愛いなぁ、伊野尾くんは」



絶対いいお嫁さんになるねぇ。
こんなこと本人に言ったら殴られそうだけど。

伊野尾くんの手料理を食べてから、
特に急ぎで片付けておくような課題もなく、テレビを見たりスマホゲームをしたりしてごろごろと過ごした。

風呂も済ませて、だんたん眠くなってきて…

日付はとっくの昔に変わっているし、伊野尾くんは二次会とかに参加させられているんだろうなぁ。

嫌々参加させられている感じを想像して思わず笑ってしまった。



「さて…寝るか」



本当はおかえりって言いたかったけど、帰ってくるの何時になるか分かんないし。
布団に入って目を閉じるとあっという間に意識を失った。









「……き！たかき！！」


「……んん？」



ぼや〜と呼ばれている気がして、目を開くと確かにそこにはベットの脇に立って俺の顔を覗き込む伊野尾くんがいた。

あれ、もう朝か…なんて思ってスマホの画面をつけると『３時４６分』と、なかなかヘビーな時間が表示されていて、なんとなくの状況を察する。

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