ありがとう、大好きでした。【ヒソカ】 (ページ13)

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幕を閉じたページ13

「ところで、家はどこなんだ？」

あ。

「…どこでしたっけ。」

「…。」

というかここはどこ？

…アロさんに住所訊こう。

レイン(チャットアプリ)で訊いてみると、一瞬で返答がきた。

「ここらしいです。」

「ふむ、中々近いな。

お前は引っ越しでもしてきたのか？」

まぁ、住所すらわからないって言ったらそうなりますよね。

「はい。昨日この町に来たばかりです。

ちょうど初仕事の帰りに迷いましたね。」

「淡々と言うことか…？」

「まぁ、迷ってしまったものは仕方がないので。」

歩きながらクロロさんとそんな話をする。

なんだかクロロさんは話しやすい。

…何でだろう。

「クロロさんはこの辺りに住んでいらっしゃるんですか？」

「いや、実は俺の部下に仕事をしないやつがいてな。

今日は文句を言ってきた。」

なるほど。

…なるほど？

「クロロさんは…部長か何かですか？」

それにしても自ら迎えに行くなんて…どれだけサボりなんだ。

いっそクビにした方がいいんじゃないだろうか。

「いや…、一応社長みたいなものか。」

！

「社長さんなんですか。」

「…あまり驚かないんだな。」

「いえ、ものすごく驚いていますが。」

「そうだったのか。」

そんなに感情が出ていないだろうか…？

あ、

「あれが私の家です。」

「あぁ、そうなのか。よかったな、帰れて。」

「今日は助かりました。ありがとうございました。」

本当にありがたかった。

今日は野宿になるかと…。

「今度お礼をしたいので連絡先を教えていただいても？

もちろん無理に、とは言いませんが。」

「律儀だな。送っただけだろう。」

だけ、だなんて。

こっちは、帰れない＝大問題、だ。

ただでさえお世話になる人(？)たちにこれ以上世話はかけられない。

「借りは早く返したい主義なので。」

「では、ありがたく礼を待っているとするか。」

そんなこんなで、私の、異世界生活一日目は幕を閉じた。