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「にゃーん」
彼の足元に一匹の黒い猫。
いつの間にか現れた猫により一瞬の静寂が訪れる。
その一瞬でいい。私が望むのは逃げだから！
『
内蔵が傷つく感覚がする。だが、代わりに彼から逃げきれる。
彼の脇下を通り抜ける。
そして袋小路をぬけて路地裏に入り複雑に進む。
……店の近くまで逃げられたみたいだ。
多分というか確実に逃げきれた……
『
あっ、無理吐く
止めようにも生理現象を止められるはずもなく、私は無抵抗に吐き出す。
苦しい、痛い、苦しい
出てきた液体は胃のものではなく血反吐だった。
「さいっあく…これからモウレンに支払わないといけないって言うのに。まだ代用できるか……？」
急いで口の中に飴玉を突っ込む。体全部が痛いけど動くうちに。
《おい、もう戻ってもいいか？客を待たせてるんだ》
《もちろん、記録を忘れずにね》
ちょっとモウレンにつよがってみたけど。
あー、どうしよう、これ。もう動けない。
なんか、あめも降ってきたし、視界わるくなってきたし。
はは、意しきも、なんだか、あいまいに……
あー……ごめんよ、みんな。
きょうはいっけんだけでしゅーりょー……
だ……
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作者名：暁 | 作成日時：2022年7月3日 3時
