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彼の目の前には今にも倒れそうな女の子が現れる。


そう、彼女こそが目の前の彼が望んだ彼の妹だ。



「なっ……!

うそ、だろメリアンヌ!なんでこんなとこにいるんだ!ここに居ればお前まで……!!」


「ワタシもねがったの。あおいとり(かのじょ)に。あなたにあいたいって。」



二人は涙を流しながら微笑みあっている。


あぁ……

すごい、すごいすごい!!!幸せ絶頂だ!!幸福からつくり出された魔力が持ち帰り切れないほどある!!


私は、幸せだ。
こんな瞬間に立ち会えて。二人の幸せな空間に少しでも過ごせて。


二人が抱きしめあっていて涙が溢れてしまう。



「なん、でだ、メリアンヌ……」



止まらない、涙が止まらないよ。


けど私は目を閉じないでじっと、なにも見逃さぬよう彼女達を見つめる。
そして、私はこの出来事を忘れない。


彼の腹部には日本ではとても入手できない鋭いナイフが突き刺さっている。


服に広がる赤い血。


引き抜いて吹き出る赤い血。


彼女の手にかかってしまった赤い血。



「ずっとずっーと、ワタシはこのときをまっていたの。

ワタシしってるの。ワタシのしんゆうを、やったことを。

にくくて、にくくてたまらなかった。

しんゆうのすがたをみたときおもったの。


《助けて、誰かアイツを、ワタシの手助けを。アイツをやれるならワタシの命なんてどうだっていい》


蒼い魔法使いさんは叶えてくれたわ。もう、これ以上ない幸福よ。

ありがとう、魔法使いさん。そしてきっとさよならね。」


「えぇ、三年も待たせてしまってごめんなさいね」


「いいのよ。ワタシにとっては数秒前のできごとなのだから。」



パチンッと指を鳴らして重力操作を行う。


そして弾丸が彼女のメリアンヌの心臓を貫く。



「さよなら、悲しき兄妹。」



涙をふいて頭を切り替える。


さぁ、ささっと次の線に行こう。次はこの線に行ってみるか。


またビルの屋上に跳ぶ。


パンッ



「うわっ!?」



悲しいことに身体強化が途切れてしまった。


そして私の足元に向かって一発打ち込まれていた。

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作者名: | 作成日時:2022年7月3日 3時

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