常連客のマシロちゃん

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一年が早いと感じるなんて思うなら、一週間はほんの数秒にしか感じない。


｢一年間ありがとうございました！｣



終業式が終わり、教室で学級委員の彼女が叫ぶ。

みんなも彼女に合わせて叫ぶ。


とてもいいクラスだったと思う。


｢あの〜、クラス発表がある日にクラス会したいんだけどどうだろう？｣



リーダーシップのある子の発言。

もちろん私は賛成だ。


みんな声を揃えて賛成の返事をする。


ただ隣にいるハナだけは違ったようで、面倒くさいな、とポツリつぶやく。


彼女にはこういうところがある。

出来るだけのことはするけど熱くはならない。体育祭でも勝っても一人飄々とした表情をしていた。

それはクールな人とはまた別の表情。



｢きっと楽しいよ。一緒に行こう｣



いつものように誘い、彼女は頷く。


みんながスマホを取り出し写真を撮り合うなか、彼女は帰る準備をする。



｢帰っちゃうの？｣


｢うん、お母さん迎え来てるから。Aも乗ってく？｣


｢ううん、ちょっとはみんなと写真撮ったら？｣


｢私写真とかプリクラって苦手｣


｢そうだったね。じゃあまたね｣



｢またね｣と手を振り彼女は教室を出る。


彼女の周りに合わせないところは良い意味で自分を持ってて流されないのかもしれないけど、やっぱりちょっと物足りない。


後ろから肩を叩かれ｢一緒に撮ろう｣と誘われる。

もちろん笑顔で応じる。


男子も女子も混ざって写真を撮り合う。

そのまま岩舘くんと撮れたら、なんて思ってしまう。


｢宮田さん撮ろう！｣



山本くんの友だちが彼をグイグイと連れて誘ってくる。

山本くんは｢余計なことするなよ｣なんてどこか嬉しそうな表情で言う。


ツンデレなんだろうな。



｢いいよ｣



男子の中に女子一人で写真に写るのは初めてだ。


笑顔を浮かべてるつもりなのに、画面の中の私はあまり笑えてない。

作り笑いは相変わらず苦手。


撮り終わり、周りからヒューという声が飛んでくる。

女子が駆け寄ってきては｢もうそういう感じなの？｣とか｢山本とどうなったの？｣と言い寄られる。


ただの好奇心から聞いてくる子が多い中、少し不安げな表情をする顔が見え｢ただのクラスメイトだよ｣とこたえる。


これ以上質問攻めをされても困るので一緒に撮ろうと今度はこちらから提案をする。





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