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柳生「Aさん、このジャージを着てください。半袖では見ていて寒そうです。」
え、めっちゃ紳士だな……さすが過ぎる。
柳生は俺にジャージを羽織らせた。
逆に俺はハンガーにかけていた氷帝ジャージを柳生に羽織らせた。
貴「今度は柳生が半袖だから俺のジャージを貸してやる」
柳生「っ！私は平気ですから…」
貴「お前が俺を心配してくれたように、俺も柳生を心配しているんだ。お前の気遣いは嬉しいけど、自分の体も大切にしていこうな」
ポンポンと柳生の肩を叩くと、柳生は急に顔を覆って座り込んだ。どんな表情をしているか分からないが、耳は真っ赤なので照れているんだろう。
俺はテレビをつけてDVD(オペラ座の怪人)を見る。部屋は真っ暗にして柳生の隣に座った。
……頼むから寝てくれ。
これで寝なかったらホットミルクに睡眠薬を仕込んで振る舞うことになってしまう。それは何となく悔しい。
＊＊＊
……オペラ座の怪人、めちゃくちゃ面白いな！！
俺は体を動かしたいタイプだから、こういう芸術作品には無縁だったけど改めて見ると面白いものだ。
あー……氷帝シアターで観た映画もちゃんと観とけば良かったなー。途中から爆睡してて終わったら月光に起こされたし。
貴「……ん？」
肩にのしかかった重み。柳生が俺に寄りかかっていた。……よし、寝たぞ！！
貴「おーい、柳生ー」
トントンと肩を叩いても無反応。少し体を揺すっても無反応だった。……ガチ寝じゃん。俺としては半寝くらいで、自分の部屋に戻って貰えるとありがたかった。何とかして俺のベッドに寝かせる。
＿＿＿いや、ちょっと待てよ？
＊＊＊
ジャッカルside
貴「よいしょっと……お前ら、本当にありがとな！」
桃城「いえいえー！これくらいどうってことないっスよー！」
伊武「いきなり部屋に来て人を運べだなんて、ふざけてると思うけど…。あと寝てる人の前で大きな声で話すなんて、非常識だよなぁ…」
先程、Aさんが203号室を訪れて柳生を運んで欲しいと頼まれた。四人で協力して運び終わったのだ。
桑原「何をしていたんですか？」
貴「実は＿＿」
Aさんは手短に事情を話してくれた。わざわざこの部屋まで柳生を運んだ理由を聞いた時は、なんて優しい人なんだろうと思った。
貴「柳生が起きたら全部夢だったことにしてくれ。じゃあ、おやすみ」
桃城「忘れ物ですよー？」
貴「……それは柳生のやつ」
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作者名：そらの | 作成日時：2020年1月3日 23時
