episode124 ページ4
.
｢え、お前受験しないのか！？｣
｢しないよ。するわけないじゃん｣
放課後の図書室、以前のように松本と櫻井は集まっていた。
本日出された宿題をこなしながら松本は淡々と話すが、櫻井は開いた口が塞がらない、という程に驚いている。
｢そんな驚く？｣
先日の二宮といい相葉といい。
松本は自分が受験すると思われていたことに逆に驚いた。
｢だって…。なんで受験しないんだよ｣
｢したって無駄だよ。受かるわけないもん｣
｢……大学行かないで何する気だよ｣
書いている手を止めて、松本は考える。
大学も行かず、就職は出来るのだろうか。
(でも大学は金の無駄…)
大学に行ったって、どうせまた勉強をサボってしまうと松本は思った。
それだったら高い学費を払ってもらうより、働いた方がマシだと。
｢大学行かないとろくなとこで働けないよ｣
｢………そうだけど…｣
｢やりたいことがあんのか？｣
櫻井の問いかけに、ちがう、と松本は頭を横に振る。
やりたいことがあるわけじゃない。
だけど、大学になんて行けない。
｢…何考え込んでんの。話してみ？｣
教師として優しい顔をみせた櫻井。
そんな櫻井に、松本は自分の思っている言葉がするすると出てくる。
話し終えたあと櫻井は、そうか、とだけ言った。
｢俺、親に迷惑かけたくないよ｣
学力のない自分が大学に行くのは、金も時間も無駄になってしまうから。
親の負担が大きくなるだけだ。
｢なるほど。それも一理ある｣
ただ、と櫻井は教師の瞳で松本に言葉を続ける。
｢お前に学力はちゃんとある。自己評価が低いだけだ。それに、今からでも学力はもっと上げられる｣
(あ………またあの目……)
櫻井が教えてくれた言葉を思い出した。
When you achieved something, praise oneself properly.
ーーーーーー何かを達成したときは、ちゃんと自分を褒めなさい
(せっかく教えてくれたのに、実践出来てなかったな…)
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 561人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2015年8月18日 22時
