はじまりの空06 ページ46
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「…櫻井、わざわざ見に来たの？」
「…だって、俺があんなこと言ったから、松本行くと思ったんだもん…。なんであんなこと言ったんだろうって、ずっともやもやしてて…」
「……ほんとは行ってほしくなかったの？」
「当たり前だろ！松本は俺と付き合ってんだから！」
櫻井の、少々自分勝手にも思える発言に松本は笑みを抑えきれなかった。
行けば、という言葉には行かないでという意味が含まれていた。
松本は裏の意味に気づかず、ただ少し傷ついてしまったのだけど。
「ごめん、俺めんどくさいよな…なんか訳分かんね…」
「…櫻井、抱きしめてもいい？」
「はっ、え？どういう流れで？今、ここで？」
「いや？」
「……いやじゃ、ないけど…」
その言葉を聞くや否や、松本はすぐに櫻井を抱きしめた。
真昼間の駅前。人は多いけど2人は気にならなかった。
幸い改札の近くで、ふたりの世界に浸る若者も少なくない。
櫻井は何が松本の胸に刺さったのかは分からなかったが、初めての触れ合いにそれどころではない。
「…ぅ…松本…胸バクバクしすぎてこのまま死ぬかも…」
「…俺も」
「…松本も意外とこーゆーの初めてなんだもんな、初心でかわいいのな」
「いやいや、お互い様。櫻井、耳まで真っ赤にしてかわいいね」
抱きしめ合いながらするふたりの会話は完全に馬鹿っぷるそのもの。
松本の体全体から櫻井への愛が流れ込んでくるようだった。
学校のプリンスが自分のことが好きだなんて信じられなかった櫻井だが、今は確信を持てる。
「松本、俺のこと好き？」
「え、もちろん、んふ。かわい」
「俺も松本が好き。もう誰に誘われてもどこにも行かないで」
「言われなくても。俺は櫻井しか興味ないもん」
長い間抱き合っていると、さすがに周りの目が気になってくる。
櫻井は少し恥ずかしくなって、松本から離れる。
それでも名残惜しくて、松本の手をとる。
松本はすぐに握りかえし、2人歩き出した。
END
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血濡れ蛍 - ぽっぷ様、お久しぶりです。ぽっぷ様の作品の、ストーリー性や、表現の仕方に感動しながら読みました。特に、『ハッピーエンドにさようならを』を読んで、思わず涙が出てしまいました。今後も期待しています♪ (2021年4月2日 13時) (
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2021年1月11日 0時
