はじまりの空03 ページ43
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櫻井の頭は松本のことでいっぱいになっていた。
何をしていても松本が浮かぶ。
それもそうだ、昨日松本に付き合ってと言われて、櫻井は思わず承諾してしまった。
あんなこと言ってしまった手前、断れなかったというのもある。
いや、それ以上に松本の真っ直ぐな視線に吸い込まれそうになって、自然と頷いていた。
あのプリンスに好かれているのがまさか自分だなんて。
今も、少し離れている席に座る松本を見てドキドキしてしまう。
「櫻井」
「は、はい」
松本が櫻井の元にやってきただけで、櫻井は心臓バクバク。
松本はいつも通りのポーカーフェイス。
「お昼一緒に食べよう」
「あ、うん」
ランチのお誘いを受けて、櫻井はあらかじめコンビニで買っていたお弁当を持った。
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櫻井は松本に促されるまま視聴覚室で横並びでお弁当を食べる。
松本は意外にも手作り弁当で、卵焼きをひとつ分けてくれた。
「うま！これ松本の手作り？」
「卵焼きだけね。あとは母親が作ってくれたやつ」
「へー、親子揃って料理上手なんだ」
美味しそうに卵焼きを頬張る櫻井を見て笑みが溢れる松本。
「ま、松本はさ….付き合ってって言ったけど…」
「うん」
「あれは、その、俺のこと好きって意味…？」
少し恥ずかしそうに俺のこと好きなの？と聞く櫻井に松本は胸を撃ち抜かれる。
かわいい、と思わず心の声が漏れる。
そしたら櫻井は顔を赤くした。
「松本ってそんな感じなの？そんな、かわいいとかいうタイプには…」
「分かんない。櫻井だけだし、好きになったの」
「え、え？」
「ん？」
松本には驚かされてばかりの櫻井。
だって、松本の初恋が自分だなんて、やはり信じられない。
「…松本はどんだけ衝撃事実抱えてんだよ」
「俺にとっては衝撃じゃないし。みんなの勝手なイメージでしょ」
「まあ、そうなんだけど」
女子たちみんながキャーキャーする松本に好かれているという事実と、そんな松本のみんなが知らない部分を知っている優越感。
なんだか胸がキュンキュンしてしまう櫻井。
「俺、松本のこと好きかよく分かんないけど…」
「うん」
「もっと知りたいし、一緒にいて、みたいなと思う」
櫻井がそう伝えると、松本はパッと笑顔を見せた。
そんな顔で笑うのか、とまた新たな一面を見せた松本。
この日から、櫻井と松本の正式なお付き合いが始まった。
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血濡れ蛍 - ぽっぷ様、お久しぶりです。ぽっぷ様の作品の、ストーリー性や、表現の仕方に感動しながら読みました。特に、『ハッピーエンドにさようならを』を読んで、思わず涙が出てしまいました。今後も期待しています♪ (2021年4月2日 13時) (
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2021年1月11日 0時
