君のわがままを許すのは06 ページ32
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｢…翔くん｣
｢………｣
｢そんなこと気にしてんの？ワガママなことなんて知ってて付き合ってるんだよ｣
松本は何をいまさら、とでもいうように笑った。
嫌になんてなるわけないでしょーって。
いつもの松本だ。
｢昨日は結局合コンには行かなかったし、合コンで敗れた男友達と飲みに行ったから帰るのは朝方になって
帰ったら翔くん寝てたから、起こさないように部屋に戻ったの｣
｢……都合よくないか？｣
｢えー？でも本当だもん。まあ合コンも人数合わせのためだしね｣
なんとなくモヤモヤっとはするけど、松本が俺に嘘をつくとは思わないし。
俺の涙を返せって話だけど。
松本はニコニコとうれしそうに笑っている。
｢俺が合コン行ったから泣いちゃったの？｣
｢そんなわけねえだろ！自惚れんな！｣
｢んふふ、翔くんのその天邪鬼でワガママなとこが好きなんだよ｣
｢はあ？そんなやつのどこがいいんだよ｣
｢だって昨日もそうだけど、合コン行けよっていいながら怒ってるし、そんなの行かないでって言ってるのと一緒だよ？｣
｢………｣
｢翔くんは天邪鬼なとこが素直でかわいーの｣
そう言って、ちゅって短いキス。
松本のことはドMで片付けていたけど、どうやら本当にドMらしい。
天邪鬼が素直だなんて、訳の分からない日本語だけど。
そんな俺を好きでいてくれるのならそれでいい。
｢泣かせてごめんね｣
｢泣いてねえし…｣
｢ふふ、そっか｣
｢でもお詫びにアイス買って来い｣
｢よろこんで｣
本当に喜んでいる松本は、満面の笑みのまま買い物に出かけた。
松本の部屋に取り残されるのなんて初めてだけど、今は不安じゃなかった。
やっぱりあいつは俺のこと大好きなんだな。
そう実感すると、顔が緩むのがわかる。
松本が帰ってきたら、素直に言ってやろうか。
天邪鬼じゃない素直な言葉を。
松本の驚いた顔とニヤけた顔を想像しながら、さっき置いた合鍵をポケットに戻した。
END
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血濡れ蛍 - ぽっぷ様、お久しぶりです。ぽっぷ様の作品の、ストーリー性や、表現の仕方に感動しながら読みました。特に、『ハッピーエンドにさようならを』を読んで、思わず涙が出てしまいました。今後も期待しています♪ (2021年4月2日 13時) (
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2021年1月11日 0時
