I wish 07 ページ21
.
お誘いの相手が今井であるのなら、話は別だ。
────────夜に突然2人で飲みに行くとかぜんぜん普通だもんねー、私なんかすっぴんで翔と会うもん
今井がそんなことを大声で話していたことを思い出す。
櫻井は何も考えずに誘いにのってしまうのだろう。
ならば阻止しなければ。
松本は立ち上がって、キッチンへと向かう。
そして温めていたやかんに手を伸ばす。
｢あつっ！！！｣
｢っ、松潤？どうした？大丈夫？｣
わざと熱いやかんに手を触れて声を上げる。
そしたら予想通り、櫻井は慌てて駆け寄ってきた。
｢ごめん、翔くん。大丈夫だから｣
｢火傷してるんじゃない？手冷やさなきゃ…あ、しおりごめん切るね｣
電話の向こうで、今井の驚いた声が聞こえる。
心の中で松本はほくそ笑んでいた。
女子よりも女子、自分でも姑息なやり方だとは思っているが。
今井だけにはどうしても櫻井を渡したくなかった。
そのためには火傷なんて大したことない。
櫻井は松本の手を掴んで水道から水を当てる。
本当に心配してくれている櫻井に申し訳ないとは思いつつ、内心うれしかった。
｢痕にならないといいけど…｣
｢大丈夫だよ。火傷なんて料理してたら日常茶飯事なんだから｣
櫻井は優しい。
きっと誰にでもそうなんだろうけど、それでもうれしかった。
松本が櫻井の優しさに喜んでいる一方で、電話を切られた今井はついに松本が普通の友達ではないと感じ始めていた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 466人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
血濡れ蛍 - ぽっぷ様、お久しぶりです。ぽっぷ様の作品の、ストーリー性や、表現の仕方に感動しながら読みました。特に、『ハッピーエンドにさようならを』を読んで、思わず涙が出てしまいました。今後も期待しています♪ (2021年4月2日 13時) (
レス) id: 94e4c8c79f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2021年1月11日 0時
