ハッピーエンドにさよならを09 ページ13
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「...なんでかはわかんないけど、助けてくれてありがと」
「別に、たまたま見かけたから」
「ふーん」
興味なさそうに返事をした後、櫻井はまた上半身を倒して仰向けになる。
めくれた服から、痣のあるお腹が見える。
櫻井からは、生への執着みたいなものが感じられなくて。
いつ死んでもいいみたいな、なんなら死にたいとすら思っているように見える。
そんな櫻井の嫌がる声が倉庫から聞こえて、不思議と怒りが湧いてきた。
なんなんだろう、俺。何してるんだろう。
俺がお腹の痣をじっと見つめていると、櫻井がぽつぽつと話だす。
「...父親に殴られてんの、俺」
「父親に？」
「うち母親いなくて、父親と2人で暮らしてんだけど...、
俺はただのサンドバッグで、家に帰れば殴られんの。
昔からそうだから、慣れてんだよ。
意味もなく殴られることには」
「........」
櫻井は淡々と自分の状況を話す。
そんな櫻井の状況を聞いて、罪悪感とか、同情とかは感じないけど。
俺らが櫻井を殴ったあの日も、家に帰って父親に殴られてたんだ。
櫻井の話を聞いて、急に記憶がフラッシュバックしてきた。
怒鳴る男の声と、振り下ろされる拳。
あれ、俺も父親に.......
「...固まってどうした」
「...同じだ」
「は？」
「俺も、父親に殴られてたみたい。今思い出した」
「...なんだそれ」
「...ずっと記憶の奥底に押し込んでたんだろうな...。
思い出さないように、振り返らないように」
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血濡れ蛍 - ぽっぷ様、お久しぶりです。ぽっぷ様の作品の、ストーリー性や、表現の仕方に感動しながら読みました。特に、『ハッピーエンドにさようならを』を読んで、思わず涙が出てしまいました。今後も期待しています♪ (2021年4月2日 13時) (
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2021年1月11日 0時
