episode227 ページ27
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｢松本...、その｣
｢2人で出かけてたの？｣
｢...うん、でもそうじゃなくて...｣
櫻井がどもりなのは知ってる。
普段は流暢に話すようにもなったけど、今日は一段と言葉が出ないみたいだ。
いつもは櫻井の言葉を待てたけど、今日はダメだ。
ちゃんと聞かなきゃいけないって思っても、止められない。
聞きたくない。
｢2人で出かけないって言ったじゃん…｣
｢そ、うだね...ごめん...｣
櫻井が何も言えない、っていうようにうつむいた。
それをいいことに、俺の口はペラペラしゃべりだす。
｢わざわざ休みの日に、こんな時間までデートしてたの？｣
｢......｣
｢なんでだよ...｣
俺ともしたことないのにって。
子どもみたいに拗ねてしまう。
だって、休みの日に出かけるなんてしたことないじゃん。
手を繋いで歩くのだってないじゃん。
他の男と出かけるな、とかさ。
みっともない嫉妬だって思ってるよ。
でも普通の友達とはちがうじゃん。
相手は櫻井のこと好きなんじゃん。
それを知っていて、どうして2人で出かけたりするの。
胸が痛くて、少し悲しい。
こんな思い初めてだ。
櫻井に男が絡むと、どうしょうもなく嫉妬する。
今までの恋人が誰と何しようと気にならなかったのに。
(いやだ、この気持ち...)
｢もうやだな...｣
｢え......？｣
こんな気持ち、楽しくない。
つらい。苦しい。
｢やめたい────｣
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2017年6月4日 20時
