episode221 ページ21
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｢翔くんってさ、何でこんなふうに俺と一緒にいるの？｣
｢へ...｣
｢そんなに意識されてないってこと？同情？気使ってんの？｣
風斗に質問攻めにされて、どもる。
風斗は俺の方を見ないまま。
え、と...どういう...
ちょっと拗ねているようにも見えるけど、声はいつも通り。
お、怒って......？
少しドキッとする。
こういうときは、どうすれば...。
｢俺言ったよね、そんなもごもごしてるうちに奪うって｣
｢う、うばう...｣
｢唇も、ハジメテも、彼氏からも｣
｢あっ...｣
風斗の顔が近づいてきたのをとっさに避けた。
さすがに鈍い俺でも、何をされそうになったかは分かる。
風斗はちぇっ、と残念そう。
｢なんだ、つまんない｣
つ、つまんないって...
少し危険だと思った。
このまま風斗と一緒にいたら、余計に松本を心配させることになるんじゃないかって。
ハッキリしなきゃ...俺がちゃんと言わなきゃ。
｢風斗｣
｢なに？｣
｢あの...、風斗とはお付き合いできない...から。その、ごめんなさい｣
告白なんてされたことないから、なんて言っていいのか分からない。
俺はされた立場だけど、気まずくて。
でもちゃんと伝えなきゃ。
俺には風斗と付き合うことは出来ない。
松本以外考えられないから。
そこまで伝えるべきかと思ったけど、恥ずかしいからやめた。
｢わかったよ翔くん｣
...よかった...
風斗は少し距離を開けて俺のとなり。
表情はいつもと変わらないように見えた。
風斗はきっと女の子にモテる。
それなのにずっと俺のことが好きだったなんてさ。
人の気持ちを否定するのはよくないけど、変な人だと思った。
｢じゃあ最後にデートしよう｣
｢で、......ダメだよ｣
松本に言ったんだ、風斗と2人で出かけないって。
だからそのお願いは受け入れられないよ。
風斗はしょぼくれる様子もなく、俺の手をがっしり握る。
｢お願い。それで翔くんのことあきらめるから｣
｢で、も...｣
風斗の真っ直ぐな目。
握られた手が熱かった。
ああ...ダメだな...。
これが風斗の嘘だったとしても、作戦だったとしても。
｢...わかった...｣
断ることが出来なかった。
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2017年6月4日 20時
