episode215 ページ15
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風斗はあのあと家まで送ってくれた。
いらない、ってけっこうがんばって強めに言ったけど風斗はもっと強くて。
また襲われたらどうすんだバカ、って聞いてくれなかった。
バカって...。
風斗は可愛い後輩みたいな感じだったから、そんなこと言われるなんて思わなかった。
歩きながら、風斗は俺に色んなことを話した。
入学してすぐ学校に行かなくなったこと。
特に理由があるわけじゃないらしいけど、学校に行く理由もなかったみたい。
そんなとき俺に出会ったこと。
何の話かと思ったけど、花壇に水やりをしていた俺に話しかけたことがあるらしい。
『花に水やって楽しい？』
そう聞いたときの俺はだいぶキョドっていたみたいで面白かった、と。
正直俺には1ミリ足りとも記憶には残っていない。
なるべく人とのかかわり合いを避けていたから失礼な態度をとっていただろう。
それでも風斗は俺を好きになったみたいだから、きっと変わったヤツなんだ。
風斗は積極性のある人だと思う。
俺が襲われかけている場面に遭遇して、助けようと思うことがまず俺とはちがう。
正義感があるところはちょっと松本と似ていると思った。
俺にグイグイ話しかけてくること自体、おかしかったんだよな...。
まさか好かれているとは思いもしなかったけど。
夜、ベッドに入った時。
目を閉じれば風斗のことばかり考えていた。
明日からどうしようか、どんな対応をしようか。
どんな顔をしたらいいのか。
告白なんてされたことないから分からない。
普通は気まずくなるものだろうか。
告白されてフった方が気まずくならないよう配慮すべきなのか。
そんな機能は備わっていない...。
頭を悩ませて悩ませて。
結局なんの案も出ないまま眠りに落ちた。
そして次の日に気づいた。
すっかり忘れてしまってたんだ。
彼にはどう説明すればいいのかを。
俺の席にいるのは松本。
おはよう、っていつもより早く学校に来ていた。
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2017年6月4日 20時
