episode110 ページ30
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気まずい食う気が漂う。
翼と2人、智くんたちから少し離れたベンチに座った。
松本が連れてきた翼。
何をどうやって翼にたどり着いたのかは分からない。
松本は翼を引き連れて驚いている俺の前まで来ると、2人で話してきて、と智くんのとなりをとられた。
松本が100%真っ直ぐな善意でやってくれているのは分かっているから。
翼を前にして、今も足がすくむけれど。
逃げない。
松本の行為を無下にはしない。
もしまた傷つけられたら、松本に泣きついて慰めてもらう。
それくらいはしてもいいだろう。
｢.........翔...目の傷...｣
久しぶりに翔と呼ばれて、海のときもそうだけどすごく喉がきゅっとなる。
翔なんて呼ぶの翼だけだから。
呼び捨てされたら、すぐに翼だって分かるんだ。
翼は俺の目の傷を見て、泣きそうな顔で眉毛を下げた。
なんでお前がそんな顔するんだよ。
泣きたいのはこっちだ。
なんで今さら俺の前に現れたりするんだ。
うつむいたまま翼の顔を見れないでいたら、翼が突然立ち上がって頭を下げた。
｢ごめん...！！！｣
｢っ......｣
本当にごめん、と。
震える声で翼は謝った。
泣いてるのかな。
翼の懺悔に胸がスッキリすることはなく、苦しくなるばかり。
やっぱり、あれの首謀者は......。
あの時の痛みを思うと涙が滲む。
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作者名：ぽっぷ
| 作成日時：2017年2月17日 18時
