*13.先生と生徒(過去) ページ13
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『はぁはぁ、、』
真冬の午後22時
誰もいない夜道を裸足で無我夢中で走る。
殴られた身体中なんて痛くも
アスファルトでさえ冷たくも
感覚なんてなくて
だけどそんなの全然なんて事ない
それよりもいつ現れてもおかしくない
迫り来る恐怖の方が今の私には
もっと恐ろしかったから
何とか家から飛び出したのは
いいものの。これからどうしよう
__逃げたらダメじゃないか
__帰ったらたっぷりお仕置きしないとな
そんな時、ふと背後から聞こえた声に
冷や汗が募るとバクバクと速まる鼓動
は自分でも抑えられなかった。
恐る恐る振り返ると数メートル先には
予想通りタンクトップ片手にお酒を持って
笑みを浮かべる彼の姿
油断からか少し力が抜けていて
悪魔が目の前から迫り来ていることに
気づいた時にはもう遅かったと悟った。
向こうの悪魔と目が合うと固まった身体は
動きたくても動かなくて
やっと抜け出せたのにと
涙が溢れそうになった。
徐々に彼が近くにつれ
また、新たな最悪な暗い地獄が始まる
そんなゴングが盛大に鳴り響こうとした時
だけど彼から腕を引っ張られるより先に
ふと聞こえてきた聞き馴染みのある特徴的な声
私と彼との間を引き裂くかのように
ど真ん中に出来た影にパッと顔を上げれば
思いがけない人物に目を見開く。
お洒落なファッションを着こなしては
揺れる綺麗な金髪と
強い目力
光るピアスに
少し垣間見えた八重歯
__あっ..桜木さん
__そう言えばこの前借りたDVD返してなかったわ
__今でもいい?
__すみません少し彼女借りますね
何故彼が目の前にいるのか混乱していれば
彼の口からまたそんな訳の分からない
心当たりのない言葉と共に
引かれた腕には一瞬すぎて逆らう事が出来なくて
気付けばあの悪魔はもういない。
何故か引っ張られるかのように
良い噂も悪い噂もされるほど大学1人気者で
兄貴肌で遊び人だと言う彼と
地味で目立たない私
接点なんてほぼないそんな別世界の彼と
夜道を駆け巡ってる私がいた。
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作者名:もなか | 作成日時:2021年12月11日 15時