黙って俺に愛されてなよ。【我妻善逸】

拾伍 ページ16

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自分の父親が他の女性の信者に手を出し続け、そんな父親を母親は殺し、その母親も毒で自害した

という何とも悲惨な過去だった





平然と話す鬼からは先程より人間味が欠けていた

自分の親の事でさえきっとどうでもいいんだろう






「...本当に可哀想なのは貴方だと私は思います。」

「俺が、可哀想？」





親が死んだことなんて俺は何にも悲しくないんだぜ？それなのに可哀想だと思うの？


分からない、理解できない、といった顔で私に問う






「生まれた時から勝手に期待されて勝手にその重荷を背をわせて、やむを得ず父親や他の醜い人の悪行を見て感じて...」


「あまりにも愛情が無さすぎる環境...」





「本当は愛情が欲しいんじゃないですか？」






言い切った所で私ははっとした
つい余計な事を言い過ぎてしまった、と。

それに鬼は黙ったままで返答はない



怒りに触れてしまったかも、とビクビクしていたところ微かに笑い声がした





「ふふ、あははっ！」

「そんな事をいう人間は君が初めてだよ」





わらっている、？




「愛情ねぇ....」

「それって君から貰えるの？」



「あ、あのそ、そういうつもりで言った訳では」





慌てて弁明する




「本当に可愛いなぁ...
君を捨てた善逸殿のきがしれないや。こんな子を置き去りにするなんて」





あっ、、
そう言えば私攫われているんだった



体の血の気がさっと引くような感覚がする

外に出る時の三つの約束を見事に全て破ってしまった






「あ、あの私置き去りにされたわけじゃないんです！待っているように言われて...」


「え！？そうなのかい！？
それは不味いなぁ」






「もう俺のものなのに」





辺りはもう日が沈みかけている





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