story9 ページ12
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未だに目的の場所も言わないまま歩くリコス。
そんな様子にオウニは声を上げる。
「おい、どこに向かってるんだ」
「・・・ここよ」
曲がり角を曲がり、リコスは赤い布が垂れ下がる大きな入り口のある場所を目で指す。
目的地へと辿り着いた事が分かると、オウニはすでに震えが治まったAを下ろした。
『___た、や___と』
「えっ?」
誰かの声が聞こえ、Aは振り返る。
頭の中に直接響くようなそんな声だ。
「チャクロ何か言った?」
「え、何も言ってないけど?」
「そう・・・」
「おい、入るぞ」
三人は真っ暗な入り口へと入る。
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『来て、くれた。やっと・・・我らが"テオス"』
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心臓が脈打つような音。
異様な色彩の淡い光と異様な存在感を放つ何か。
入り口から出たAが初めに受けた印象はその二つだった。
目の前のモノにオウニは息を呑み、チャクロは悲鳴を上げた。
ソレは"巨大な異形の生物"だった。
「オウニ、これって一体・・・」
「・・おい、これは何だ。答えろ」
オウニはAを庇うように片腕をあげ、質問に答えずリコスに問いただす。
「リコス?」
「___リコスは私の名前じゃない。この"ヌース"とよばれる生き物の名前よ」
(ヌー・・・ス)
Aはその名前を聞き、不思議な感覚を覚える。
初めて聞く名のはずなのだが、何か違和感が感じる。
その感覚を理解できないままオウニの背中から顔を覗かせ、異形を見る。
リコスは淡々とそのヌースのことを話す。
「ヌース、魂の形。人の感情吸収して食べる生き物。私達は自分の感情をこのリコスの栄養分として与えてきた・・・だから私達の心はのっぺらぼう」
「感情を、与える?」
人間が生まれた時から当たり前にある感情。
その感情が宿る心から感情が失われるということは想像できなく、本当にそうだとしたら、とても悲しく、恐ろしい事だった。
「どうして、そんな事を」
「・・・感情は、世界を滅ぼすから。必要の無いものだから」
「そんなこと・・・」
「そんなことない」とAは言おうとするがリコスは首を横に振る。
「貴方達が知りたがっている外の世界は、感情のない人達が、心のない"アパトイア"を使っていつ終わるとも知れない戦いを続けている___そんな世界」
争いが続く世界・・・果たしてそれが外の世界の真実なのだろうか?
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雑草(プロフ) - 突然すみません。この小説とても面白いです!これからも頑張ってください!! (2018年1月2日 0時) (レス) id: 623fd5650b (このIDを非表示/違反報告)
巴衛新月 - はわわわ…オウニかっこいい!ニビ,夢主ちゃんのこと好きなのか!? (2017年12月13日 17時) (レス) id: 17b6508236 (このIDを非表示/違反報告)
laststar - オウニかっこよすぎるー!個人的にはニビも好きだからこの小説すごい好きー! (2017年12月8日 22時) (レス) id: ba47909489 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵 - ヤバい、オウニ君イケメン! (2017年12月8日 7時) (レス) id: 1d6bbddaab (このIDを非表示/違反報告)
アヤ - 更新されててテンションすごい上がりました。これからも頑張ってください。 (2017年12月5日 18時) (レス) id: 2d65d5b3aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:rio | 作成日時:2017年11月11日 17時