当たり前*10 ページ12
冬弥side
彰人「おい、冬弥。」
自分の席で本を読んでいたら、彰人に呼ばれた。
その後ろには、俺の姉であるAもいた。
何か用があるのか、と思い、俺は本を置いてから彰人達の方へ向かうことにした。
A「昨日席替えでもしたの?
全然見つけられなくてさ。」
彰人「あの位置でわからねぇのは目腐ってんじゃねw」
A「別に腐ってないんだけど。
彰人に比べるとね。」
ギャーギャー騒ぐ2人を後目に、Aの先程の発言にまだ覚めていない頭を動かす。
席替えの話は、1週間ほど前にしたはずだ。
後ろの方の席で、風の通りがいいということも話している。
俺の話を毎日楽しそうに聞いてくれるAは、あまり物事を忘れないタイプのはずだった。
何かがおかしい、とは思ったが、俺はあえてそのことに触れなかった。
冬弥「あ、嗚呼。
それで、2人揃ってどうしたんだ?」
A「ごめんっ、冬弥の本、持ってきてたみたい。
それと……数学の教科書、忘れたから貸してほしいんだけど……」
冬弥「Aが忘れ物なんて珍しいな。」
困惑しながら本を受け取りながらぼそ、と呟く。
『夜雫』は確かに俺が数日前に買ったはずのものだ。
俺は読み終わったのでAに一昨日その本を貸した。
そしてAが泣きそうな顔をしながら読み進めていたのを見ていた。
見ると、栞が挟まっていたので、読み終わってはいないのだろう。
何故だか、違和感ばかりの会話だ。
彰人「まぁ、数学はこっちのクラスで1時限目だしな。」
冬弥「分かった。とりあえず教室に戻ろう。」
教室に戻り、Aに教科書を渡すと少し嬉しそうにしながら帰っていった。
そして後ろから声をかけられる。
??「ねぇ。」
冬弥「……?」
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作者名:桃園天利 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/1eec8acd853/
作成日時:2021年5月25日 23時