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花音と別れてから、私は自分の家……ではなく、ある場所に向かっていた。
それは今日、花音と侑くんが待ち合わせをしている駅の道路を挟んで向かい側にあるカフェ。
そこである人物と待ち合わせしているのだ。
私が花音と時間をずらして、その場所へ行くと、その人物は既に待っていた。
『ちわっす、治くん』
「おお、A」
双子の片割れこと、宮治だ。
治くんは私に気がつくと、イジっていたスマホを鞄の中へとしまい込んだ。
そう、彼とは前々から作戦を建てていた。
今日の二人のデートを見守ろう作戦だ。
今日のデートなんて、あの二人なら少女漫画あるあるのオンパレードだろう。見に行く意外の選択肢はない。
けれど、流石に一人だと気が引けるので、治くんを誘ったのだ。
治くん曰く、「ツムのきもいデレ顔写真撮って弱み握ったる」との事で快くOKしてくれた。
お互いの弱みのためにオフを使うなんて、双子も一筋縄ではないんだと思った。
『はい、という訳で治くんはこれ被ってね』
「え、ちょっ、おい」
私は鞄からキャップ帽を取り出し、スポリと治くんの頭に深く被せた。
前が見えなかったのか、少しだけキャップ帽のツバをくいっと上げる。
「折角Aと出かけるから、髪セットしたんに」
『治くんイケメンだから、一緒にいると逆に目立つ』
「え、俺がイケメン?もしかして惚れた?」
『あ!花音と侑くんが!!!』
「話聞けや」
治くんは私の視線の先を追うように、道路の反対側、駅の方を見る。
ちょうど待ち合わせしていた花音と侑くんがエンカウントしたところだった。
『もう待ち合わせが駅ってだけで少女漫画よな』
「俺も角名とかとよく待ち合わせするけどな」
『夢ぶち壊さないで』
花音と侑くんは何やら話しているが、流石に会話内容は聞こえない。でも、雰囲気が優しい。きっと上手くいっているのだろう。
少しすると、二人は歩き出した。
『よしっ、尾行開始や』
「おう」
治くんはスマホを構える。
さぁ、ごほうびタイムの始まりだ。
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あまのじゃく(プロフ) - ういさん» やっぱちょっと訛ってましたよね!?萌えですね! (2020年8月17日 6時) (レス) id: 1bd81e41c7 (このIDを非表示/違反報告)
あまのじゃく(プロフ) - ことりさん» ぎゅんぎゅんw心臓大丈夫ですかw読んでいただきありがとうございます! (2020年8月17日 6時) (レス) id: 1bd81e41c7 (このIDを非表示/違反報告)
うい(プロフ) - 角名君標準語だけどイントネーションが関西ですよね!萌えました! (2020年8月17日 1時) (レス) id: a04005cb99 (このIDを非表示/違反報告)
ことり(プロフ) - 北さんんんんんん(悶) 頭撫でてはずるい…ぎゅんぎゅんしました…笑 (2020年8月15日 0時) (レス) id: 19c0d362e8 (このIDを非表示/違反報告)
あまのじゃく(プロフ) - 麗さん» ぎゃー!!ありがとうございます!! (2020年8月14日 23時) (レス) id: 1bd81e41c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱里 | 作成日時:2020年7月11日 8時