君ダケ感zIテrU ページ2
Your side
壁一面には私がいた。上から下まで、壁が見える隙間なんてなくびっしりと私が貼られていた。
どこで撮られたのか分からないような写真が壁全体を埋め尽くしていた。
イかれたこの空間で、私の力はこの部屋の中へ吸われるように抜けていく。
それなのに、一歩ずつ足を前に出しては
その壁に近づいていった。
最近撮られたであろう写真を見て、自分の姿を再確認する。
笑ったり、悩んだり、悲しんだり、喜んだり。
自分がこんな風に日常生活を送っていたことを初めて知った。イベントや特別な日にしか撮らないような自分の写真なんかより、よっぽどそれは私だった。
家にいる自分、学校にいる自分、登校する自分、遊んでいる自分。それは何を隠すこともなく私の全てを表していた。遂には、私さえも覚えていないような出来事までをも、この部屋では記録していた。
1つ1つをまじまじと見ていると、理解できない写真の集団に行き着いた。
セピア色の写真。
変色してしまっていて、もうかなり古くなっている。何年前に現像されたのだろう。
よく見れば、スイカを食べる幼い少女の姿があった。幼稚園くらいだろうか。青いスモックに、ピンクのタオルを首からかけている。
その隣にはまた同じ少女の姿。白いブラウスに緑チェックのスカートで何かを楽しそうに踊っている。
私の通っていた幼稚園と同じ制服にスモック。ずっと昔私が使っていたピンクのタオル。
なぜ気づかなかったのだろう。
写真の中で笑う少女が自分だということに。
幼すぎて、最初誰だか分からなかった。
けれど確実に分かる私の顔。視線をずらせば、同じ位の年代の私は何人もいた。幼稚園の写真は、恐らく全て卒園アルバムの物だった。それをコピーして現像したようで、なんとなく画質が粗い。
ゆっくり視界を横へ移すと、幼稚園生の私は、ランドセルを背負った。まだ大きいランドセルを、重そうに、けれど嬉しそうに背負っている。写真の中で私は小学生に成長した。
そして、横へ横へといくにつれて、学年が上がり、中学の制服に身を包んでいた。
歩いて、自分の成長過程を見る日が来るだなんて思ってもいなかった。まるで博物館にある資料を読むかのように、私はそれらを一枚一枚見続けた。
段々と大きくなっていく自分。少しずつ顔も、身長も、変わっている。まるで自分のヒストリーを辿るようだった。
その歴史に穴はなく、いつの時代の私もしっかりと収められていた。
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もも。 - お話が面白すぎて一気に読ませていただきました、!キュンとしたり、切なかったり、、。続き、更新されるの楽しみに待ってます、! (2019年2月6日 0時) (レス) id: 7822559aab (このIDを非表示/違反報告)
白。 - お話が面白くて一気に読みました。切なかったりぞくっとしたりきゅんとしたり、あなたさまの書かれる廉君と平野君がとても魅力的で..引き込まれます..凄く好きです。続きが読めるのを心待ちにしております..! (2019年1月12日 23時) (レス) id: 02ab738ad1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - 途中から涙なしでは見られませんでした!紫耀くんの立場になって読むと苦しかったです、、これからも更新楽しみにしてます!! (2018年3月29日 0時) (レス) id: 352a1f8854 (このIDを非表示/違反報告)
ひぃ(プロフ) - 面白すぎて最初から一気に1日で読みました!!どうなるのか楽しみです!廉くんこういう役似合いますね笑笑 (2018年3月17日 19時) (レス) id: 7eb0555a29 (このIDを非表示/違反報告)
ぴらみるふぃー(プロフ) - ねねけろさん» 更新遅くなってすみません!読んでいただきありがとうございます!ここからは一気に更新します!!! (2018年3月16日 1時) (レス) id: 715c5d55e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴらみるふぃー | 作成日時:2017年4月22日 14時