君に狂わされた恋車 Ren Sho

19.それでも特別な味 ページ19

Your side






紫耀「ひとみちゃん



そんな風に俺のことを見てたの〜？」


覗き込んでる紫耀は悪戯っ子の顔をしていて。


『わ、忘れて！


……ね？』




紫耀「えー。

忘れられるわけ







あらへんやん♡」



赤い私の頬を

人差し指でつんつんしてきた。




ほんと、



意地悪。









『もういい！』


なんて言って、紫耀が持っていたクレープの
1番大きいガトーショコラを

一口で全部食べた。


このクレープの1番美味しいところ。



『うーん。

おいし〜』



ま、これで許してあげるとしますか。笑



紫耀「わーーーー泣


1番美味しいところ取られたーーーー泣


もうこのクレープ

ちっさいガトーショコラしかあらへんやん！


ひとみのバカーーーー泣」



べそをかく紫耀。



可愛い。








『うーん、おいひー！


こんなにも美味しいガトーショコラが食べれないなんて……






紫耀かわいそー！』



紫耀「誰のせいやねん！


もー 怒ったで！


俺もやり返しや！」

ぷんぷん怒っている紫耀は、私の持っていたクレープのイチゴを全部食べた。

１つ残らず。


『ぎゃーーー！

なんでイチゴ！

なんでイチゴだけ食べるのー！』



紫耀「やって

ひとみはイチゴが1番好きやもん！』

勝ち誇ったように笑う紫耀が可笑しくて。



『いいもんねー！



じゃあ私は……』



自分のクレープのバナナを全部食べた。



紫耀「あーーーー！


俺のバナナがぁーーーー！」



『紫耀はバナナが好きだもんねー？』

へへっ。

やり返し成功。









そして残ったのは

クレープの皮に包まれた生クリームと
クレープの皮に包まれたカスタード。


な、なんて殺風景なスイーツ。



『あーあ、美味しいところ全部なくなっちゃったね』


紫耀「誰のせいやねん笑」

『いや、紫耀のせいでもあるよ⁉』

紫耀「えぇーー⁉

最初にやったのはひとみやん！」

『あれは紫耀のせいでやっちゃったんだよ！』





1番美味しいところはないけれど
紫耀と食べているっていうだけで、特別な味がする。
大好きな人と一緒に食べるものは、なんだって美味しく感じる。









他愛ない会話が楽しくて、大切で。

永遠に続けばいいのになんて思ってしまう。








大好きだよ

紫耀。

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