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3章:3『ようやく伸ばせた手』 ページ17

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会場に使祈の叫び声が響く少し前。


会場外で電話をする万理。


紡『急な連絡すみません…。MEZZO"の撮影で使われる予定だった撮影スタジオが荒らされていて…。その後車の方に戻ったのですが、離れていた隙に車の方も荒らされていて……それで、何か車に大事なものでも置いていたのなら確認しないとと思いまして…!』


声だけでものすごく焦っているのがわかる。


しかし返事をしようとした時、電話の向こうでMEZZO"の叫ぶ声がした。


壮五「万理さん!すぐ会場へ戻ってください!」


環「万ちゃんやべーって!すぐ戻って!」


物凄い勢いで叫ぶから耳が痛くなった。しかしそこまで叫ぶほどの何かがあるのだろうか。会場のほうを向いた瞬間、中から大きな落下音。そして誰かの叫び声。


血の気が引いたのを感じる。


万理「なにが…」


電話を切るのも忘れ、扉へ走る。が。


了「……………おや?」


ちょうど扉を開けた了と出くわす。


了「…大事な弟さんの元へ戻ってあげたらどうです?」


場内を指し示され、扉から覗く。


人集りのほうから使祈の叫び声が聞こえる。


すぐにそちらへ向かおうとする。……しかし、ただならぬ空気で睨み合いになっている天と梨将が目に映る。


梨将「…っ俺だって…!!」


ようやく口を開いた梨将が叫ぶ。


梨将「俺だって昨日、事務所へ戻ってから何度も訴えた!こんなこと辞めるようにって!!」


震える声で梨将が続ける。


梨将「でもやっぱり、俺じゃあ止められないんだ…。使祈と別々の道を進むようになってからも、まだ俺は、俺だけは、2人で歌っていた頃から抜け出せていないんだ…。」


了「…梨将」


梨将「けど!」


了が止めようとするが、梨将は叫ぶ。


梨将「もう、こんなの耐えられないから…!」


掴みかかる了の手を振り払い、梨将は了の方へ叫ぶ。


梨将「俺は今、ここで、あんたの事務所を辞める!!」


大御所も他事務所の関係者も、これだけ居る中で叫んでしまえば、ツクモ側は引き止めにくいだろう。


けれどそれは、梨将も同じで。


こんな大事に関わっていた人を所属させてくれる事務所は相当心が広いと思う。


実質、梨将はアイドルを続けることは難しい………と、なるはずだった。


了「……梨将、そんなこと許されるとでも」


了の言葉を遮るように、万理が割って入った。


万理「彼は、うちに来てもらいます。」

3章:4『恵まれて』→←3章:2『叫び声』



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草津蓮哉(プロフ) - 欅さん» コメントありがとうございます!学業の関係で中々更新できていませんが、時間を見つけて少しずつでも更新していこうと思っております。推しは環と万理さんです…! (2020年3月5日 7時) (レス) id: ef06dcdedf (このIDを非表示/違反報告)
-  この作品に巡りあえて幸せです! お忙しいとは思いますが、頑張ってください。応援してます。 推しは誰ですか? 私は三月推しです! (2020年2月4日 22時) (レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:草津蓮哉 | 作成日時:2018年5月30日 2時

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