向 ページ4
土曜日、時刻は午前9時53分。少し早く来すぎてしまったかなぁ、と思いながらも学校の前で彼を待つ。
『あーっ、やっぱ恥ずかしい...』
今更ながらも、実際にプライベートで会うとなると、やはり恥ずかしい。服装とか髪型とか、変じゃないかな...ちなみに、今日の服装はピンク色のワンピースに茶色のベルトがついているもの。いつもより少しお洒落してみたけれど、大丈夫かな...
そんなことを考えながら、辺りをきょろきょろ見渡していると、奥の方から誰かが歩いて来ているのが見えた。
『...エミさんだっ!!』
その人に向かって大きく手を振ると、此方に気付いたのか手を振り返してくる。
そんなに慌てなくてもいいのに。凄い勢いで走ってくる彼に、思わず笑ってしまった。
em「ごめんなさい、Aさん。待たせてしまいましたか？」
眉を八の字に下げ困る彼。
『そんなことないですよ、エミさん。私も今着いた所ですから』
em「そうですか、なら良かったです!」
そこから黙りこくってしまう彼。ほんのり耳が赤いような気がする。大丈夫かな。
『エミさん、大丈夫?どうしたの?』
私がそう言うと、彼は私の手を取り、少し強く握り締めた。
『えっ』
em「あ、あのっ!!その、Aさん、ふ、服...すっごく、可愛らしいです!!」
『...あ、エミさんも!大人っぽくて、すっごく格好いいです!!』
会えた事が嬉しくて、ずっと彼の顔ばかり見ていたけれど、いつもの学生服とは違い、白のカッターシャツに茶色のベスト、灰色のズボンという、随分大人っぽくい格好をしている。この服のまんま図書室で本読んでたら格好いいだろうなぁ、とちょっぴり思った。いつも格好いいけれど。
私が格好いいと褒めると、彼はえへへ、と笑った。全く、格好いい上に可愛いだなんてほんとずるい。
『えっと、じゃあ行きましょうか、Aさん』
「はい、行きましょう!」
先程握り締められた手は、片手だけだけれど、今もしっかりと握られている。暖かい。思わず笑みが零れてしまった。
私の笑い声に気付いたのか、彼に
em「もう、何に笑ってるんですか、Aさん」
と言われてしまった。
『何でもないですよ。ただ...』
ただ、貴方と手を繋げて、嬉しかっただけ。恥ずかしくて言えないけれど。
em「ただ、何です?気になるのですが...」
『ふふ、ほんとに何でもないの!』
em「何にもないのに何で笑うんですかー!」
他愛のない話をしていると、いつの間にか彼の家の前についていた。
em「いらっしゃい、Aさん」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 42人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽっぷこーん(プロフ) - 春が来たー！更新頑張ってください (2021年9月3日 16時) (
レス) id: 23b3a74ded (このIDを非表示/違反報告)
吉山田きのこ(プロフ) - はったりさん» コメント返信遅くなってしまい申し訳ございません!ありがとうございます！頑張って更新するので、待っていて下さい！ (2019年8月6日 20時) (レス) id: d8304cf352 (このIDを非表示/違反報告)
はったり - 春無のエミさんに…春だと！？ キュンキュンしました！続き頑張ってください！ (2019年8月2日 16時) (レス) id: 41ac5a4538 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：吉田きのこ | 作成日時：2019年3月19日 21時
