貴 ページ1
私はお菓子作りが好き。
でも、図書室の彼はもっと好き。
きっと...いや、確実に恋愛感情としての好きなのだろう。
どこが好きか、と聞かれたら私は迷わず『全部！』と答える。それくらい好きなのだ。
...ただ、私には告白する勇気がない。
振られたら？友達としても駄目になったら？そんなことを無意識に考えてしまう。
だから、私はお菓子を送る。
あまり知られていないが、花言葉のようにお菓子にも言葉がある。
そのお菓子言葉を使って遠回しに告白をしよう、と考えたのだ。
我ながら良い考えだと思う。
流石に毎日は相手も困るだろうから、水曜日にだけ送ることにした。
彼は毎日図書室に居るからいつでも良いのだろうけれど。
何故毎日居るの？と友達に聞いた所、彼は図書委員だからと返された。
私の通っている学校は図書室がとても広く、二階まである。
兎に角沢山本があり、大体の本は揃っているのだ。
私も本は好きで週一回は借りに行くのだが、彼は決まって二階の図書スペースで本を読んでいる。
二階は人があまり居ない。一階で読むか、借りて直ぐ帰る人が多いからなのだろう。
私にとっても二階は特等席のようなもので、よく端で本を読む。
だからなのか、私と彼は話す回数が増えた。
どんな本が好きだとか、おすすめの本を教え合ったり。最近は趣味についても話すようになった。
そして、今日は水曜日。お菓子を渡す日だ。
図書室へ早足で向かう。
扉を開けて、そのまま二階へ。
二階へ着くと、彼から近寄ってきてくれた。
em「Aさん！今日も来てくれたんですね！」
向日葵のような笑顔を向けてくれる彼に、こっちまで笑顔になる。
『エミさん！名前覚えててくれたんですか⁉ありがとうございます！』
em「いえいえ、私に図書室で話しかけてくれる方はAさん位ですから。嬉しくて覚えちゃいました。」
少し恥ずかしそうに微笑む彼に胸が締め付けられる感覚がする。
数秒間固まったあと本来の目的を思い出す。
突然の出来事すぎて忘れかけてしまった。
『あ、そうだ。エミさん、はい、どうぞ。』
鞄からキャンディーを取り出し、彼に渡す。
中には食べられる花が入っていて、自分でもかなり頑張って作ったと思う。
em「わぁ...!!凄く綺麗ですね！」
『ふふ、喜んでもらえて嬉しいです。頑張って作った甲斐がありました！』
そう伝えると、彼は目を見開いて驚く。
em「え⁉作ったんですか⁉凄いですね、ありがとうございます!」
『こちらこそ。ではこれで!』
一回目、成功。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 42人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽっぷこーん(プロフ) - 春が来たー！更新頑張ってください (2021年9月3日 16時) (
レス) id: 23b3a74ded (このIDを非表示/違反報告)
吉山田きのこ(プロフ) - はったりさん» コメント返信遅くなってしまい申し訳ございません!ありがとうございます！頑張って更新するので、待っていて下さい！ (2019年8月6日 20時) (レス) id: d8304cf352 (このIDを非表示/違反報告)
はったり - 春無のエミさんに…春だと！？ キュンキュンしました！続き頑張ってください！ (2019年8月2日 16時) (レス) id: 41ac5a4538 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：吉田きのこ | 作成日時：2019年3月19日 21時
