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部屋に到着したあと、彼をベッドに寝かせ、毛布を掛ける。
先程とは違い、柔らかい表情ですやすやと眠る彼を見て安心する。
さて、これからどうしたものか。
取り敢えず目の前にあった本を読もうと手に取る。
小学生位の時からずっと読んでいたものだ。
両親を亡くした少女が引き取られた館に閉じ込められている山の守り主を知恵を使って救い出す、というお話。
私はこの話に夢中になってた。
何回も何回も、飽きるまでずっと。
夜遅くまで読んでいたものだから、お母さんに早く寝なさいってよく言われてたっけ。
懐かしいなぁ。今はもう読む機会なんて全然無いのだけれど。
当時の私は、この物語の少女みたいに誰かを救いたいって思ってた。
だけど私は救えなかった、助けようとしなかった。
どうして？彼の様子が可笑しいって、気付いてたのに。
何で？何でもっと早く、助けなかったの？
ああ、どうしよう。
気付いたら涙が溢れていた。
なんで、なんで？大切な人なのに！なんで...
彼は私を見たら何て思うだろうか。
臆病者？弱気な奴？見て見ぬ振りをする裏切り者？
後悔と不安で頭の中が埋まっていく。
そんな中で、不意に母の言葉を思い出す。
───不安な時は、笑いなさい。───
....どうして?
───そんな顔、他の人に見られたらどうするの？───
..わかんないよ!
───大丈夫。無理にでも笑って、その顔を見てみなさい。きっと可笑しくて笑っちゃうわ───
鏡に向かって無理やり笑顔を作る。
ぎこちない笑顔が見える。
それが面白くて、可笑しくて。
『ふふっ。』
思わず笑みが溢れる。
...そうだ。彼が起きたときにこんな弱気な自分を見せちゃ駄目だな。
嫌な思考を振り払う。
彼が起きたら話を聞いてあげるんだ。
その後はゆっくり、お茶会でもしようかな。
そんなことを考えているうちに眠ってしまった。
『あ...寝ちゃってた...』
隣を見れば、彼も今起きたようだった。
眠そうに目を擦ったあと、私を見て大きく目を見開いた。
そして一言。
ut「えっ！?な、え、は？」
ナイスリアクションです。
『あ、起きた？おはよう。』
ut「うん。おはよう...?なんで僕がここに居るの？自分の部屋に居たはずなのに...」
『...ねぇ大先生。何か不安なこと、ある?』
優しく彼に問う。
『あるなら私に話してごらん。いくらでも聞いてあげるから。無理にとは言わない。話したいなら話してみて？』
彼の青い目がこちらを見る
そして、
ut「弱気な奴でごめんな。話、聞いてくれへん？」
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吉山田きのこ(プロフ) - 桜もちもちさん» 更新するから帰ってww (2020年1月30日 19時) (
レス) id: d8304cf352 (このIDを非表示/違反報告)
桜もちもち - そろそろ更新しよっか？ (2020年1月29日 19時) (レス) id: c4bd55c5f2 (このIDを非表示/違反報告)
吉山田きのこ(プロフ) - ほんとですか!?ありがとうございます！ (2019年3月17日 2時) (レス) id: d8304cf352 (このIDを非表示/違反報告)
舞茸(プロフ) - ステキな作品、ありがとうございます！大好きです！ (2019年3月17日 1時) (レス) id: 2584a65657 (このIDを非表示/違反報告)
吉田きのこ(プロフ) - ほっ、ほんとですか!?ありがとうございます(泣)更新はなるべく早くできるように致しますので楽しみにしていてください！コメントありがとうございました！励みになります！ (2019年2月20日 20時) (レス) id: d8304cf352 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：吉田きのこ | 作成日時：2019年2月19日 23時
